韓国自動車最大手の現代自動車グループは9日(現地時間10日)、世界最大規模のテクノロジー見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」が開催されている米ラスベガスで、人工知能(AI)開発に必要なデータセンター(DC)向け半導体製造で世界シェア80%の米エヌビディアと戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。現代自Gは自動運転や、ソフトで機能やサービスを更新する「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」、ロボティクスなどにエヌビディアのAI技術を活用する。
現代自Gは先端分野での技術競争力を高めており、AI、ロボティクスなど、革新的な自動化方式を適用した生産効率化を図るスマートファクトリーを構築するなど、製造をはじめとするさまざまな領域で生成AI技術を活用している。
エヌビディアのデジタルツインプラットフォ―ム「オムニバス」を採用し、仮想環境で新規工場を構築し、運営過程をシミュレーション。製造効率性と品質を向上させ、工場の運営コストも削減。これにより自動運転技術の開発を加速させる。天候や交通状況、事故発生などを考慮した仮想走行を通じて安全性に関する実験にも着手する。
また、エヌビディアのロボティクスプラットフォーム「アイザック」でAIロボットを開発。ロボット学習に必要な仮想環境も構築する。
現代自Gの金興洙・副社長兼グローバル戦略室長は「提携によってロボット、自動運転、スマートファクトリーなど、さまざまな分野の技術革新を加速し、将来のモビリティー(移動手段)を主導する企業に躍進する」と宣言した。エヌビディアのリシ・ダル・オートモーティブ担当副社長は「提携を通じて現代Gは安定して知能化された自動車を生産し、高い効率性と品質で製造力を強化して、革新的なロボット技術を開発できる環境を構築することになるだろう」と述べた。
エヌビディアはAI半導体とソフトウエア開発プラットフォームを強みに、世界中の自動車会社との協業を拡大している。自動運転技術を競う自動車産業は、AI半導体にとって重要な市場となっている。エヌビディアは自動車企業に対して、自動運転車の開発に必要なチップやソフトウエアを供給している。
自動車メーカー世界首位のトヨタは、エヌビディアの自動車開発プラットフォームを採用し、次世代自動運転車を開発すると発表した。エヌビディアは、ボルボ、米自動運転企業オーロラ、独自動車部品企業コンチネンタルとも提携。ほかに中国BYD、英ジャガー・ランド・ローバー(JLR)など、多くの自動車関連企業がすでに採用している。
エヌビディアのオートモーティブ関連事業は2026年度には約50億ドル(約8000億円)に成長すると見込まれている。
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戦略的パートナーシップ締結を発表する現代自動車グループの金興洙・副社長兼グローバル戦略室長(左)とエヌビディアのリシ・ダル・オートモーティブ担当副社長=9日(現地時間10日)、米ラスベガス