編集余話

日付: 2024年12月10日 09時50分

 44年ぶりの戒厳令はわずか6時間で解除された。この拙速とも思える発令は、結果として大統領の政治生命を窮地に追い込むことになった。短時間で解除されたとはいえ、むしろ理由も明確に示されないまま短時間で解除されたことで、尹錫悦大統領の真意はいまだ正確に伝わったとは言い難い▼戒厳令の撤回後、尹大統領はテレビ演説を通じて国民に謝罪。誤った判断を反省する旨を表明した。野党は戒厳令の発令を「独裁的措置」として非難し、大統領の弾劾案を国会提出。可決はされなかったが、今後も再び弾劾を求めていくようだ▼戒厳令を宣布した大統領は談話で「国会が犯罪者集団の巣窟になった」と表現した。これは正しい言葉だ。だが、賛成をしている人にとっても言葉足らずの印象はぬぐえない。一方、大統領の言葉以上にメディアで報じられているのは、追及されている大統領夫人を守るためというスキャンダラスな分析だ▼韓国国会は、過半数を占める野党が繰り返し重要法案の審議を妨げ、予算編成も正常に行われていない。野党は2日、崔載海監査院長ら検事3人に対する弾劾訴追案を発議した。憲法上の独立機構トップである監査院長が訴追されるのは憲政史上初めてであり、尹政権下で野党が弾劾を推進した対象は18人にも及ぶ▼戒厳令の発令が国中を混乱に陥れたのは間違いない。そして政局の混乱は続き、尹大統領が意図したと思われる国会の安定運営はむしろ遠のいた。混乱のなか、何が真実かを見極める冷静な対応が必要だ。


閉じる