隣接国軍事進攻でシリア政府崩壊

中東に複雑な力の空白
日付: 2024年12月10日 09時49分

 テュルキエの支援を受けるHTSが全面侵攻(先月の27日)してからわずか11日の8日、首都ダマスカスが陥落、シリア政府が崩壊した。アサド大統領と家族はロシアに亡命した。
内戦中でも反軍に対して優位だったと知られてきたアサド政府があっけなく崩壊したことに対し、専門家たちは、米国の厳しい制裁措置によって極度の経済的困難に陥っているシリア政府軍の貧弱な武装では、テュルキエの支援で性能が立証されたドローンなどで武装した反軍のHTSは到底対応できなかったという。ロシアとイランはアサド大統領に支援を提案したが、国民の犠牲を望まなかったアサド大統領が、支援を断ったと知られている。
問題は、シリアの今後が極めて不透明であることだ。イラクやリビアで見られるように、外の介入によって破壊された地域は混沌が続いていることだ。シリアは特に、地政学的位置のため極めて複雑な状況だ。
アサド政権を支援してきたロシアとイラン、シリア内クルド族の一掃を推進するテュルキエ、ヒズボラと戦い、領土拡張に熱心なイスラエル、シリアの穀倉や油田地帯を占領した米国が絡んでいる。米国はシリア経済を徹底破壊し、ISISを助けた。
アサド政権が崩壊するや、イスラエルはシリアに戦争を宣言、ゴラン高原の北側を占領しイスラエルへの脅威除去を名分にシリア内の空軍基地と武器などを爆撃している。米中部司令部もシリア内のISISを爆撃したと発表した。
ロシアのウクライナ侵攻を非難する西欧は、隣接国の侵攻で崩壊したシリアには沈黙している。


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