東京都港区の韓国中央会館で11月27日、統一部が主催する対北政策説明会を実施、民団関係者約40人が聴講した。「3大統一推進戦略」「7大統一推進策」「3大統一ビジョン」を内容とする「8・15統一ドクトリン」を巡り、韓日の関係者間で精力的な意見交換の場が持たれた。
統一に向けた構想を具体化
韓国中央会館で11月27日、韓国統一部が「8・15統一ドクトリン及び北韓人権」と題し「統一・対北政策説明会」を在日同胞向けに実施、在日本大韓民国民団の関係者約40人が聴講した。
「8・15統一ドクトリン~自由・平和・繁栄の統一大韓民国」とは、今年8月15日の「第79回光復節記念式典」で、尹錫悦大統領が祝辞の中で述べた半島統一に向けた構想を具体化したもの。「3大統一推進戦略」「7大統一推進策」「3大統一ビジョン」を内容としている。
当日の会合ではドクトリンの中身や普及方針について、玄仁愛・統一未来企画委員会委員長が講演、質疑応答の場も設けられた。
■対北政策に自由統一訴え
まず、「3大統一推進戦略」は(1)自由統一を推進する自由の価値観と力量育成(韓国)(2)北韓住民の自由統一への熱望を促進(北韓)(3)自由統一大韓民国への国際連帯と支持の確保(国際)を旨とする。
韓国国内から北韓住人、そして国際社会までを視野に入れ、自由民主主義の価値観を維持したまま統一(自由統一)を推進する方針が明らかにされている。
次に、「7大統一推進策」は(1)統一プログラムの活性化(2)北韓の人権改善に向けた多角的取り組みを展開(3)北韓住民の生存権を保障するための人道支援を推進(4)北韓住民の「情報アクセス権」を拡大(5)北韓離脱住民の役割を統一力量に反映(6)南北当局間の〈対話協議体〉の設置を提案(7)〈国際韓半島フォーラム〉の創設で国際社会の自由統一への支持を牽引など。
可視化の遅れている北韓の情報を整理・研究し、国際社会に周知する拠点を韓国が率先して設置し、北韓住民から国際社会まで広く理解が得られるよう図っていく。情報大国・韓国の強みを活かしたプランの提案といえるだろう。
最後に、「3大統一ビジョン」は(1)国民の自由と安全が保障される幸せな国(個人)(2)創意と革新で跳躍する強くて豊かな国(国家)(3)国際社会の協調と発展をリードし、世界の平和と繁栄に貢献する国(世界)との目標を掲げた。
■講演に民団関係者が応答
総じて、昨年以来の北韓による対南政策転換とは真逆の方向性から、統一が志向されている点がドクトリンの特徴だ。
発表を行った玄委員長は、自身も脱北した経歴を持っており、韓国入国を果たしてから北韓離脱住民の研究を精力的に行っている。
質疑応答の場で、まず民団関係者の側から朝総連への対応をめぐる質問が投げかけられた。玄委員長の応対として、朝総連から明確に脱退を表明している人にのみドクトリンも効果を持つとのこと。
李壽源・民団東京本部団長は両者の応酬に際し、質問者の意図をくんでのコメントを寄せた。
日本で朝総連が民団と対抗して存在している地政学について、韓国・北韓・日本の3カ国で特殊なトライアングルが形成されている現状を統一部関係者に伝えた。
劉代永・在日本大韓民国婦人会中央本部会長は、「基本的な方針に賛成するが、あまり明記されていない北の解放に際して、武力を行使するというのであれば絶対に賛成できない」とし、「脱北した人たちが韓国での生活になじめず、再び北に帰ろうとしているという話を聞いたことがある。個人的な意見だが、統一は瞬時に果たされるべきものではなく、中長期的な移行の期間を持たなくてはいけないものだと考えている」と話した。
今回、民団関係者と対話した玄委員長は「韓国内部だけでは解決に向かいにくい統一の課題に対し、在日同胞関係者が熱心に意見を出してくれたことに感謝している」と本紙の取材に対しコメントを寄せた。
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「8・15統一ドクトリン」について説明する玄仁愛・統一未来企画委員会委員長