先月25日、NPO法人「文化センター・アリラン」(宋連玉館長)は対面とオンラインで「第12回アリラン・ブックトーク」を開催した。
2022年に刊行した書籍『ことばの杖~李良枝エッセイ集』を取り上げ、ザ・サードアイ・コーポレーション代表取締役の李榮さんが登壇した。李榮さんは故・李良枝さんの実妹にあたる。司会をアリラン理事の鄭栄桓さんが務めた。
1992年5月に37歳で早世した李良枝さんは、デビュー作『ナビタリョン』(「嘆きの蝶」の意)や芥川賞受賞の『由熙』が有名で、在日コリアン文学界を代表する作家の一人。また、在日として生きるアイデンティティーの葛藤から、伝統的な舞踊の世界に浸り「文と芸の人」として唯一無二の存在感を持っている。
『ことばの杖』は、文学作品の影に埋もれてしまった、あまり知られていない李良枝さんによる詩や文を巡るエッセイや、舞踊の世界についての感想、家族や在日のアイデンティティーに目覚めた自伝的背景が記された、読みやすい一冊。
妹の李榮さんは、山梨県富士吉田市で子ども時代を共に過ごした思い出や、李良枝さんの家出や韓国留学など在りし日の姉の姿を振り返った。またエッセイを通し、鮮やかによみがえる一人の人間としての生き方について参加者にメッセージを投げかけた。