内戦のような選挙を通じて、米国政治の不連続線がこれまでよりくっきりと現れた。世界の人々は米国社会と連邦制の政治体制に関する多くの問題を見た。米国の政権交代が確実になったが、緊張感は高まっている。特に、ハリスの当選を願望して悪意的に扇動報道を行ってきた巨大メディアは、はたしてメディアと呼べるのか。その役割を果たしてきたのか。今回の米大統領選挙は有権者が巨大メディアに勝った戦争、ソーシャルメディアが巨大メディアに勝った選挙だった。巨大メディアらの致命的な問題点は確認されたが、是正される可能性はない。米国の政治体制、連邦制が非常に脆弱な制度であることは確かだ。これは、これまで米国に深く依存し、連結されてきた同盟諸国も直面する危機と言える。
バイデン大統領は表面的には、トランプへの政権移譲に協力を表明した。だが、カリフォルニア州はトランプに対して対決を宣言した。
連邦下院の半分近くを占める民主党は、依然として連邦選挙で米国市民でなくても投票すべきとの主張を変えない。ハリスがトランプ当選人より多く得票した州は、ほとんど投票者の身分を確認しなかった州、つまり民主党が掌握した州だった。
トランプはウクライナ戦争の即時終息と言い切ったが、これは米国と欧州間の疑いと葛藤だけを増長している。トランプの立場は基本的にはバイデンと異なれば良いとのことだが、現実と距離があり、荒い考えが見られる。
トランプは、前回の在任中の状況と条件が変わったことを認めねばならない。シリア北部とイラクからの撤退は現実的で良い。だが、バイデンやDS勢力がトランプ就任の前にイランと戦争を進める懸念もある。
トランプにとっては、米国の資源がこれ以上消費されないよう、ウクライナ紛争を終結させることが重要だ。ただ、米国の武器産業が維持されるためには、ウクライナに武器を供給できる能力は残さねばならない。
トランプはロシアが敏感に思う部分に関心がない。トランプ側のウクライナ終戦計画はやや欺瞞的だ。ロシアの特殊軍事作戦の背景とロシアの立場を無視している。キーウが20年間はNATOに加入しないことを約束し、東南部の4州とクリミアをロシア領土として認めるとともに、現在の境界線に沿った非武装地帯を作ることを提案している。非武装地帯の統制は欧州に任せ、米国はロシアの攻撃を防ぐためキーウに武器を供給するという内容だ。
プーチン大統領はバルダイフォーラム演説(7日)でロシアの立場を再確認した。
国連のロシア代表は、米国の現戦線凍結休戦案を拒否した。ロシアはウクライナの兵力枯渇と今後の兵力動員が不可能になるのを知っている。米国側の休戦案はゼレンスキーが回復する時間を稼ぐ戦線凍結案で、ウクライナがNATOに加入しないなどという約束を信じない。ロシアはミンスク協定にだまされた失敗を繰り返さない。
もしトランプがロシアからNOと言われれば、ロシアは米国がウクライナへの武器供給を増やすと見ている。米国はロシアに対する制裁が失敗したように、中国に対する制裁も失敗する可能性が高い。中国の封鎖は遅すぎた。
トランプは国内減税のため同盟にも10~20%の「関税賦課」を宣言した。同盟諸国は米国を信じられない。トランプが終戦交渉のため金正恩と会えば、韓国は核武装に追い込まれるかも知れない雰囲気だ。