民団大阪本部(金明弘団長)は10月25日、同本部5階大ホールで、脱北者人権セミナーを開催。200人が参加した。
2023年サンダンス映画祭USドキュメンタリー部門で、観客賞を受賞した『ビヨンド・ユートピア 脱北』が上映され、つづいて同映画に登場したイ・ソヨン氏(49歳)が特別講演を行った。
同映画は、北韓からの脱出を試みる2組の家族に密着したドキュメンタリー映画で、幼い子供2人と80代の祖母を含めた5人家族、そして生き別れになった17歳の息子を韓国へ呼び寄せようとする母親がそれぞれ登場し、生まれ育った故郷や家族への愛情を抱きつつも生きるために決死の覚悟で多くの困難を乗り越え、韓国を目指す姿をリアルに映し出している。
イ・ソヨン氏は、08年に韓国に亡命し、現在は脱北女性団体「ニューコリア女性連合」の代表を務めている。北韓から息子(20歳)も脱北させようとした。息子は、19年に中国へ越境したが、中国当局に身柄を拘束されて、北韓に強制送還され、現在、政治犯収容所にいると見られるという。
「息子はきつい拷問を受けているかもしれず、今この瞬間にも息子のような被害者が生まれていることを知ってほしい。脱北して初めて日本人拉致被害者の存在を知ったが、そうした人権侵害に対して声を上げていくことは、拉致被害者の問題をも解決していく助けとなるはずだ」などと涙ながらに訴えた。
(大阪=韓登)
セミナーには200人が参加した