常態化した裁判遅延は正されるか

李真淑放送通信委員長が憲裁麻痺突破
日付: 2024年10月16日 09時25分

 憲法裁判所は14日、李真淑放送通信委員長が憲法裁判官の定足数(7人)不足で自分の弾劾審判が停止することが不当と提起した仮処分申請(10日)を全員賛成で認めた。憲法裁判官が6人では裁判が不可という憲法裁判所法条文が効力停止されたことで、司法体制など国政の麻痺を目論んだ「共に民主党」の卑劣な国政サボタージュ、事実上の国会クーデターは挫折した。

 

 憲法裁判所は1987年の改憲を通じて発足したとき、9人の裁判官の人選を3権分立の原則に基づき、3人は大統領が、3人は大法院長が、3人は国会が推薦することにし、憲法裁判所法(1988年制定)で、7人以上で事件を審理するよう規定した。
ところで、今週の17日、李悰錫憲裁所長と2人の裁判官が退任、裁判官が6人だけの状況で、3人の裁判官の後任者が皆国会の選出となるが、国会が後任者を定めず、事件審理に必要な定足数(7人)未達で「憲裁の麻痺」が憂慮された。国会に割り当てられた裁判官推薦方式の別途規定はないが、両党体制になってからは与野党が1人ずつ推薦し、残り1人は与野党合意で選出する慣例が確立された。
だが、李在明党が議席数に応じて自分たちが後任者3人のうち2人を推薦すると主張、選出が遅れた。実際の事情は、各種犯罪で刑事裁判を受けている李在明側が、司法的断罪を避けるため、確定判決を遅らせながら、尹錫悦大統領を弾劾で引き下ろし、早期に大統領選挙で権力を握るという、反憲法・反逆を進めるためというのが政界の共通の見方だ。
要するに、国会の憲法裁判官3人の選出を遅らせ、故意に憲裁の機能を無力化、司法体系など国政全般の麻痺を狙ったと言われる。つまり、任期制公務員の任期満了による経過措置などが具体的に設けられなかった「立法不備」というより、国会の多数党が、故意に国政を麻痺させる事態を想定できなかったのだ。
これは政治圏の責任であると同時に、いわゆる「民主化」による法治全般の崩壊に原因があると言える。憲法27条は、すべての国民が迅速な裁判を受ける権利を規定しているにもかかわらず、大法院と憲法裁判所をはじめ、各級法院がこれを無視してきた。
不正選挙など選挙法違反を6カ月以内に処理するように明示されている法規が無視されてきたのが代表的な例だ。さらに、特定の政治的信念を持った(左傾)法官の恣意的な裁判忌避、遅延が法治の基本を崩している。
従北勢力と組織暴力勢力によって育てられた李在明の選挙法違反関連1審裁判(2018年)はなんと180億ウォンを使って無罪になった。だが2審で罰金300万ウォンで有罪になり、最終審(大法院)でも巨額の裁判取引で無罪になった事実が確認された。これは、左翼裁判官の恣意的裁判犯罪の典型だ。
李真淑放通委員長は、任命2日後の8月2日、国会の弾劾訴追で職務が停止されたが、憲法裁判所法条項のため弾劾審判が開けられず、職務停止の状況だった。李在明(共に民主党)側は、憲法裁判所を麻痺させた状況で、李在明を捜査する検事をはじめ、尹錫悦政府の各級公務員を弾劾すれば、国政が止まると考えた。公職者に対する弾劾審判だけでなく、緊急な権限争議、仮処分、憲法願いなどあらゆる憲法裁判が止まる。
いずれにせよ、李真淑放通委員長の今回の仮処分申請と違憲所願を通じ憲法裁判所法23条1項の効力は、憲法願い事件の判断が出るまで停止し、憲法裁判所は裁判官6人だけでも各種事件を審理できるようになった。裁判官6人全員が同意すれば、違憲や弾劾の可否も決定できる。
一方、李鎬善国民大学法科大学長も14日、憲裁の職務遺棄などを指摘、憲法願いを出した。李教授は、憲裁が弾劾審判を180日以内に判決しろということなどは全く守らず、7人の定足数だけを強調する矛盾も指摘した。
就任早々から司法部の裁判遅延に対して警告してきた曺喜大大法院長が迅速に裁判を指示した。検察は10日、選挙法違反で現役議員14人などを起訴した。選挙法違反は1審を6カ月以内に、2審と3審(大法院)の判決は3カ月以内に終了せねばならないため、来年10月には最大20人ほどが議員職を失う。
今回の事態が、迅速な裁判を受ける権利を国民の基本権として規定している憲法27条3項を明確にし、常態化した裁判遅延を抜本的に是正する契機となるか。

 


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