「南北2国家論」主張の意図

憲法に背く従北露呈
日付: 2024年10月01日 10時41分

 北韓が打ち出した「南北2国家論」の賛同者が登場した。文在寅政権時代に大統領秘書室長を務めた任鍾晳氏と元統一部長官の丁世鉉氏、李鍾奭氏らだ。任氏が「統一はやめよう」と火種をつけると、丁氏は「当面、統一の実現は困難であるため、南北間で平和的な協力関係を構築しようというのが任氏の真意である」と付け加えた。盧武鉉政権時代に統一部長官を務めた李氏も、統一は後世に譲ろうとのスタンスだ。
国会の多数派野党である共に民主党は「南北2国家論」について明確な見解を示していない。任鍾晳氏の個人的な考えとして事態を収めようとしている雰囲気だ。民主党は、北韓が継続的に南側に飛ばしている「汚物風船」についても立場を明らかにしたことはない。「汚物風船」は各種のゴミや肥料などを積んで韓国に散布しており、これまでに5300個以上が見つかった。
「南北2国家論」について、李在明・共に民主党代表は党内の非公開会議で「大韓民国は一つの領土であり、平和統一を追求するという精神が憲法に込められている」として、任氏の主張は民主党の公的な見解ではないことを説明するよう指示したというが、メディア向けに公表することはなかった。
尹錫悦大統領は9月24日、「統一しない」という任鍾晳氏の主張に対し「大韓民国憲法が命じた自由民主主義平和統一の推進義務に背く反憲法的な発想」と批判、「韓国政府は常に平和的な自由統一を主張してきた。今後も平和的な自由統一を推進していく」と強調した。
南北関係を管轄する政府の機関長も批判に乗じた。金千植・統一研究院長は9月27日、「それほどまでに平和を強調する人が、韓半島の平和にとって最大のリスク要因である北韓の核についてはなぜ言及しないのか。南北の平和を脅かすのは統一論議ではなく、北韓の核・ミサイル挑発。任氏は南北間における緊張の高まりについて、その責任を転嫁し、北韓の最高権力層に耳障りのよい話に徹している」と批判した。
これに先立ち、任鍾晳氏は同19日、光州金大中コンベンションセンターで開かれた「9・19平壌共同宣言6周年記念式」の席上、「統一が必須であるという固定観念を捨て、二つの国家を受け入れよう」と語り、北韓が提唱する「2国家論」に賛同。この日の記念式典には文在寅前大統領をはじめとする文政権当時の主要閣僚らが出席した。
北韓の「2国家論」は、韓国を敵国と指定し、破壊すべき対象であることを確立させようとの意図がある。南北が1991年に国際連合(UN)に同時加盟した際、両者は基本合意書を採択し、「南北関係は国家間としての関係ではなく、統一を目指す特殊な関係である」点に合意した。北韓の「2国家論」に従えば、「統一を放棄し、戦おう」との結論に至る。


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