韓国の石油精製品好調

対日輸出が過去最高
日付: 2024年10月01日 10時38分

 「メイド・イン・コリア」の石油精製品が日本で需要を伸ばしている。日本へのガソリン輸出に加え、SAF(持続可能な航空燃料)なども軒並み増加傾向を見せている。日本製の部品に対する輸入依存度の極めて高い韓国だが、石油精製品だけは例外だ。日本が韓国から石油精製品を輸入する背景を探った。

(ソウル=李民晧)

 

 関税庁と韓国石油公社の資料によると、今年1月から8月までに韓国の企業が日本に輸出したガソリンは、前年度の年間輸出額(13億8453万ドル)を上回る14億4643万ドルを記録した。輸出額ベースでは、東日本大震災の影響で日本の施設の稼働率が急落した2012年の13億3986万ドルを上回っている。
輸出増に伴い貿易黒字額も増加傾向にある。今年1月から8月における対日ガソリン輸出の黒字額は累計12億7959万ドルで、12年以来の最高値を叩き出した。震災の影響を除いた場合でも、5億8033万ドルの輸出を記録した20年以降からは年々増加の一途をたどっている。

 韓国産が日本に輸出される背景

では、なぜ日本は韓国の石油精製品を輸入しているのだろうか。業界の関係者によると、経営基調に韓日の差があるという。1990年代末、世界的に自由貿易が広まり、韓日の石油精製市場も開放が始まった。
この時、日本の製油業界はやや消極的な道を選んだ。グローバル競争が激化し、利益が減少すると、企業間で統廃合や人員削減、施設の閉鎖といった措置を取った。それらは結果的に、生産量の減少へとつながった。こうした流れで、新規投資も事実上停止する形となった。
これに対し、韓国の製油業界は攻めの経営を続けた。企業間で競うように「高度化施設」構築に向けた投資を行った。高度化施設とは、原油の精製過程で生産された安価な重質油を原料とし、ガソリンや軽油といった高価格な軽質油を再生産する設備だ。重質油は原油を輸入するよりも安価であるため、システムさえ構築しておけば、精製の工程で付加価値を大きく高めることができる。
その結果、韓国の石油精製能力(世界5位)は2018年に日本(世界7位)を上回り、現在はさらにその差が拡大している。そのため、生産能力の高い韓国産が日本に輸出されているのだ。日本に輸出されているのは、SAFとして国際認証を受けた高品質の製品だ。

 将来を見据え有望市場に大規模投資

韓国の石油精製業界は世界最高水準の技術力と生産能力を誇る。SKイノベーションの蔚山工場は、継続的な投資により、単一工場の精製能力基準で世界2位に位置づけている。GSカルテックスは00年から16年まで、高度化施設を構築するための費用として11兆ウォンを投資。現在は韓国最大規模の高度化処理能力(日産27万5000バレル)を備えている。エスオイルも高度化設備に7兆1000億ウォンを投資し、現在も9兆2500億ウォン規模の高度化施設を建設している。
韓国の石油精製業界では、SAF市場の将来性を見据えて大規模な投資に備えている。国内需要の99%以上を海外からの原油輸入に依存している韓国。技術力と化学をベースに大企業へと成長したSK(韓国内企業ランク2位)が、石油精製関連品で年間約600億ドルの輸出額に達しているという事実には驚かざるを得ない。

 

9月13日、千葉港埠頭に到着したGSカルテックスのSAF輸出船。SAFはこの後、成田空港の航空燃料タンクに降ろされる

 

 


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