北韓を相手取り提訴した北送事業の被害者である在日同胞の脱北者5人が、損害賠償請求訴訟の1審で勝訴した。ソウル中央地裁は12日、イ・テギョン氏ら北送同胞が提訴した裁判で、原告側勝訴の判決を下した。
被告は北韓と金正恩。裁判所は金正恩に対し、原告1人当たり1億ウォンを支払うよう命じた。イ氏らは今年3月、「プロパガンダに騙されて北韓に渡り、抑留された挙げ句、精神的な被害を受けた」として裁判所に提訴した。
北送同胞に対し、韓国の裁判所が北韓の虚偽の宣伝と人権侵害の事実を認めたのは今回が初めて。
今回の訴訟については当初、訴状を「ニューヨークの北韓国連代表部」に送ったが届かず、官報に訴訟関連書類を掲載する「公示送達方式」で行われた。
北送同胞らは、判決が宣言的なものに留まることのないよう、実際に慰謝料が支払われるべく尽力している。そのため北送同胞の弁護人側は、南北交流協力法に基づく経済協力基金のうち、北韓に対し未払いとなっている資金を受け取る方向で検討を進めている。
北韓は朝鮮総連を通し、1959年から84年まで、約9万3000人の在日同胞を北送した。今回の判決を機に、他の脱北者による訴訟が続くものと予想される。
(ソウル=李民晧)