韓国の釜山港は、地域のハブとして世界の物流を支えている。日本の港湾関係者らは、物流と人的交流の両面から韓国との協力を模索中だ。先月3日、江原特別自治道の東海港と鳥取県境港の間でフェリーの往復運航が再開。コロナが明け、ますます重要性を増す両国の海上輸送の現況を取材した。
釜山・東海港に高まる期待
東京ビッグサイトで10~13日、物流・ロジスティクスの国内最大級の展示会「第6回国際物流総合展」を開催。4日間の開催で8万4193人の来場があり、関心の高さをうかがわせた。
日本の港湾関係者では鳥取県の境港のほか、山形県の酒田港・神奈川県の横須賀港・京都府の舞鶴港・山口県の下関港がブースを出展した。
■物流と釜山港の重要性
下関に拠点を置く関光汽船(入谷泰生代表)が運営するSHKライングループは、新日本海フェリー・阪九フェリー・関釜フェリーを運航し、航路における韓日協力を実践する民間企業として実績を持つ。坂井勇紀・関光汽船国際営業課係長は、「韓国向け輸出の約7割を下関から、グループの航路で行っている。関釜フェリーは週7便運航する強みがあり、通常はできない当日変更も可能な点を売りにしている」と述べた。
週2便の韓国航路を持つ酒田港(釜山への直行または境港を経由する航路をもつ)のブースで、長濱稔・山形県港湾事務所副主幹は「日本にとって、韓国は外航船で外すことが出来ない。世界各地の港湾関係者がハブ港としての釜山港の重要性を認識している」と話す。
朴濟晟・釜山港湾公社日本代表部代表は、「日本からの輸出入に際しても、釜山港は主要積み替えの場として利用されている」とし、国際物流の流れの中で釜山港の重要性について述べた。
■ロシアへの就航も再開
東京ビッグサイトの東8ホールセミナーC会場で11日、岩下久展・境港貿易振興会専務理事は「物流2024年問題への対応~北東アジアゲートウェイ『境港』」と題して講演、約40人が聴講した。
岩下久展・境港貿易振興会専務理事は、北東アジアに広がる航路の魅力を訴求
境港から釜山港までは約400キロメートル、速度毎時35キロ・14時間ほどで、一晩で行くことができる。下関と比べれば距離は遠いが、航路の時間はそれほど変わらないとしている。地理的条件と「カボタージュ規制」(自国の沿岸輸送は自国籍船に限るという制度)によって、釜山港にワンタッチしてから境港に寄港する船舶が多いとしている。
江原特別自治道と鳥取県が今年11月に友好提携30周年を迎える記念事業の一環として、先月3日から東海港と境港のフェリー往復が再開した。東海港を経由して、ロシアのウラジオストク港へのルートを持つ点も特徴である。
韓日航路の新しい動きとして、これまで毎週「土曜入港・日曜出航」のスケジュールが、来月から1日前倒しされ「金曜入港・土曜出航」へと変更される計画。
境港の関係者によると、飛行機では輸送の難しい、自転車での入国が可能なフェリーの利点を活かし、サイクリングを目的にした旅行客の入港機会が多いという。宿泊施設の料金設定などの面を考慮し、今回の変更が加えられた。
先月3日、江原特別自治道の東海港から鳥取県境港へサイクリングに訪れた旅行客たち。来月から利便性を考え、入港日が1日前倒しされる(鳥取県提供)
先月の再開より以前、東海港と境港の往復フェリーが運航していた時期に舞鶴港への寄港便もあったという。飯田徹・京都舞鶴振興会常務理事は「境港との往復船が軌道に乗ってから、舞鶴港への就航も再開してくれたらと期待している。舞鶴は姉妹都市提携などには至っていないが、同じ港湾都市同士の交流として、慶尚北道の浦項市との交流が続いている」と述べた。
物流だけでなく、人々の交流にも寄与するところの大きい航路の開拓は、今後の韓日友好へとつながる懸け橋となるだろう。古代から続く海と関連した交流の歴史が現代にも引き継がれ、ますます深化・発展していくことを期待する。