北朝鮮人権映画祭実行委が上映とトーク

生々しい脱北者の実像に圧倒
日付: 2024年09月10日 12時22分

 北朝鮮人権映画祭実行委員会は8月31日、都内で上映会とトークイベントを開催し、50人が参加した。
上映されたのは「ビヨンド・ユートピア脱北」(2023年・米国)。隠しカメラや携帯端末で撮影された完全ドキュメンタリー。北韓から脱北し、中国、ベトナム、ラオス、タイへと、いくつもの国境や川、険しい山岳地帯を超えて危険な逃避行を繰り広げる2人の幼い子供と80代の老婆を含む5人の家族への密着。祖国に残してきた息子との再会を切望する脱北者の母親。脱北者を支援する人々。これらの人が、すべて演出なしで登場し、生々しい映像が観る者を圧倒する。
23年サンダンス映画祭で圧倒的な支持を得てUSドキュメンタリー部門観客賞を受賞。各映画メディアや評論家の間では、23年のベスト・ドキュメンタリーの呼び声が高い。
上映後のトークセッションには、特定失踪者問題調査会の荒木和博代表と、朝日新聞元ソウル支局の鈴木拓也記者が登壇=写真。鈴木記者は北韓の人権状況改善について「米国、ロシア、中国、日本との大国間の駆け引きによって、北の対応が変化するかもしれない。北が手詰まりになって、日本にすり寄ってくる可能性もある」と見通しを語った。
荒木代表は北韓について、「北は中国、米国、ロシア、日本が担いでいる神輿だ」と独自の例えをして、「ただし乗っているのは貧乏神。本当は担ぐのを止めたいが、手を放すと自分の方へ倒れて来るので、仕方なく担ぎ続けている」と現在の北韓を巡る国際社会の現状を説明した。
トーク終了後には、公開処刑や闇市場、浮浪児などの実態を北韓国内の協力者が隠し撮りした映画「北朝鮮・素顔の人々」を上映した。


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