エアバッグの動作不良を未然に防止

iGen社が新技術で特許取得
日付: 2024年08月15日 04時41分

 自動車事故などで衝突が起きた際、エアバッグが作動しなかったらどうなるだろうか。ドライバーをはじめ、同乗者らが負傷するリスクが高まることに加え、命まで失う危険性がある。世界有数の自動車メーカー各社が「エアバッグの動作不良」という課題を解決できずにいる中、主な原因である「縫製(Sewing)の不備」を劇的に改善した技術を韓国企業iGen社が開発した。

 

 「現代自動車、米国でエアバッグ動作不良5万台をリコール」
今月1日(韓国時間)、現代自動車がエアバッグの動作不良を理由に、米国で販売された新型サンタフェのリコールを行うことを報じた記事のタイトルだ。米国道路交通安全局(NHTSA)は、リコールを決めた理由について「当該車両内部の配線に問題があり、エアバッグが意図せず開いたり、衝突時に作動しない可能性がある」と説明した。
自動車のエアバッグが動作不良を起こす原因は様々だ。機械的な欠陥が理由で発生することもあるが、最も多いのは縫製の不備だ。米国でフォルクスワーゲン・アウディA6 2012年モデルがエアバッグの問題でリコールの対象となった時、ウォールストリート・ジャーナル(2011・12・14)は次のように指摘した。
「今回のリコールは、縫製の不備といった一見して些細な問題が、自動車の安全をいかに脅かすかということを如実に示している」
エアバッグは(1)衝突(2)センサーが認識(3)衝突量の検知(4)エアバッグが開くといった順を踏んで作動する。このうち、最終段階であるエアバッグが開かない原因の十中八九は縫製の不備だ。   
iGen社の趙焄植代表は「縫製の不備は作業者のミスで発生する。エアバッグは消耗品なので、全数検査ができないという問題もある。今回開発した新技術は、このようなヒューマンエラーを根本的に阻止することができる」と自信を示した。iGen社は京畿道龍仁市に本社を置く第5世代のエアバッグプラットフォーム企業として、米国をベースに事業を展開している。
エアバッグが正常に作動しない原因は、エアバッグ本体と、シートベルト横のエアバッグを包むシートカバーの縫製不備が原因だ。趙社長は二つの例を挙げた。一つ目は、縫製時に使用する上糸と下糸がかみ合わないまま固定されてしまったケースだ。二つ目は、エアバッグが開く部分には木綿の糸(強度の低い糸)を使用しなければならないが、ポリエステルの糸(強度の高い糸)で縫ったことにより、衝突時の際にシートが破れ、エアバッグが作動しないというケースだ。
iGen社が開発した技術「Dr・Sewing」は、縫製の不備が発生する可能性を未然に防ぐことができる。下糸の不足を事前に検知し、基準値以下になるとミシンが停止し警告音が鳴る。それに加え、エアバッグやシート、ベルト製作時に使用される約40の工程をリアルタイムでモニタリングできる履歴管理システムも開発した。
iGen社の「ドクターソーイング」技術は韓国、日本、米国、欧州、中国など各国で特許登録を済ませた状態だ。趙焄植代表は「人の生命と安全を守ることができる技術だ。韓国と日本にそれぞれKセーフティベルト、Jセーフティベルトを作り、さらには世界最大の自動車市場である米国市場にも進出して、世界中の人々の安全に貢献したい」と語る。

iGen社の趙焄植代表


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