チェコの原発建設を受注

仏を抑え欧州市場に初進出
日付: 2024年07月23日 11時51分

 韓国政府は17日、チェコが計画しているドコバニ原発の2基新設工事の業者選定入札で韓国水力原子力(韓水原)が優先交渉権を獲得したと発表した。韓国はアラブ首長国連邦(UAE)に原発を輸出するなど、将来の有望産業と見られていたが、文在寅政権下で脱原発政策を推進したことで停滞。尹錫悦政権発足後、再び原発推進へと舵を切った。今回、欧州で初の原発建設の受注となり、今後のさらなる成長が期待される。

 チェコ・ドコバニ原発の工事に関してはフランス電力公社(EDF)も入札に参加し、マクロン大統領自ら売り込みに乗り出していた。今回、原発大国であるフランスを抑えて、欧州で初の受注となった。
韓国による原発輸出はUAE以来、15年ぶり。韓国政府によると、総事業費は約24兆ウォン規模を見込んでおり、UAEのバラカ原発の20兆ウォンを超える。2025年3月頃には最終契約が結ばれる見通しだという。
チェコは、ロシアのウクライナ侵攻や中東紛争の激化などで、安定的なエネルギー供給に懸念が生じていることから、原発建設を推進している。今後10年間で石炭火力発電を段階的に廃止し、原発依存度を現在の約3分の1から、2分の1に拡大する方針。今回とは別にテメリンにも2基の原発建設を計画している。
韓水原が斗山エナビリティ、大宇建設などと共にチェコに建設する原発は100メガワット級の韓国型原発「APR1000」。発電価格は1メガワット時当たり90ユーロ未満とする計画。
今回の選定についてチェコのフィアラ首相は「韓国の原発は全ての評価基準で優れており、テメリン原発の2基新設工事についても協議する」と述べた。
現在、世界的に原発を推進する潮流となっている。
脱炭素化が叫ばれるなか、クリーンエネルギーとしての原発が再評価されてきている。さらに人工知能(AI)やメガデータを保存するサーバの維持に多くの電力が必要となり、将来的な電力不足が懸念されている。また電気自動車が普及すると莫大な電力が消費されることになる。現段階では低コストでエネルギーを生産できるのは原発以外にない。欧州では、イタリアが最近35年ぶりに原発の再導入を公式化し、1980年から原発を減らしてきたスウェーデンも新規原発建設計画を発表した。
ポーランド、ルーマニアなども原発建設について意欲的だ。現在、全世界で推進中の原発プロジェクトは300基を超えると言われている。
文在寅政権下では、脱原発化に舵を切ったため、原発産業が衰退した。尹錫悦政権発足後、再び原発推進路線へと進み、国内原発産業も活性化した。
以前から韓国原発技術の水準は高かったが、尹錫悦政権発足後、既存の原発より発電量が少なく安全性が飛躍的に改善される次世代原発SMR(小型モジュール原発)の量産化技術の確立にも成功した。
文政権の脱原発政策で危機に陥った原発産業を正常化し、次世代SMR先導国として飛躍する足がかりを得ることになったといえるだろう。


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