自滅に向かう「国民の力」

党代表選巡り稚拙な争い
日付: 2024年07月17日 12時04分

 いま総選挙が再度行われた場合、与党「国民の力」は勝利できるだろうか。今月23日に行われる全党大会で新代表を選出する「国民の力」が内部で稚拙な争いを繰り広げている。党代表選において最大の争点となっているのが「大統領夫人・金建希氏のテキストメッセージ」だ。政治的志向を問わず、こうした状況は大多数の有権者にとって理解しがたいのではないだろうか。

(ソウル=李民晧)

 

 金建希夫人と韓東勲候補の間で交わされたテキストメッセージをめぐり、党代表候補間で攻防戦が繰り広げられている。その最たる理由が、4月に行われた総選挙で敗北した原因と責任を見極めようというものだ。総選挙当時、国民の力非常対策委員長を務めていた韓候補が、金夫人の文字メッセージに返信しなかったことに対し論争が続いている。
これに対し、羅卿瑗候補は「政治的に未熟な判断」とコメントし、尹相鉉候補は「非道理的だ」と非難した。元喜龍候補も「大統領夫人が党と国家のためにしようとしていたことを、なぜ独断で退けたのか。責任をもって回答すべきだ」と批判した。韓候補は「大統領室に『謝罪すべき』と伝えたところ、尹錫悦大統領は『その必要はない』と答えた」と反論した。
では、ブランドバッグ贈収賄疑惑をめぐり、もし金建希氏が謝罪していた場合、総選挙の結果は変わったのだろうか。これに対する回答は、候補者4人とも「イエス」だった。総選挙で国民の力が敗北したのは、韓候補が金夫人のメールに返信しなかったこと、あるいは金夫人による謝罪がなかったことが原因だという共通認識なのだ。果たして与党は、国民をどのように見ているのだろうか。本当にこれが党代表選の争点として相応しいものなのか、なぜテキストメッセージをめぐる問題が取り沙汰されているのか。そのすべてにおいて首をかしげざるを得ない。
100人以上の与党議員が集まるSNSのグループチャットでは、こうした状況に対し「国民に申し訳ない」「このままでは競争どころか存亡の危機」など自責の声が上がっている。
23日に行われる全党大会の争点がテキストメッセージをめぐる問題に終始した場合、誰が党代表になろうとも国民の力は「自滅」に向かいかねないだろう。

弾劾請願を主導する
前科5犯に野党同調


一方、ろうそくデモを行う団体が主導した、大統領の弾劾を求める請願活動に「共に民主党」が便乗したことで政局はさらに混乱に陥る見込みだ。国会法制司法委員会は9日、与党が反発する中、聴聞会実施計画及び証人出席要求を野党単独で議決した。
大統領の弾劾を求める請願活動の主導者は、ろうそくデモを展開するクォン・オヒョク共同代表で、同氏は国家保安法違反で5度の前科を持つ。こうした人物があおった弾劾運動に、韓国第1党が同調した形だ。
大統領の弾劾は、重大な憲法及び法律違反、国家安全保障の侵害、職務放棄や犯罪行為など厳格に制限されている。明確な弾劾の根拠を示すことのないまま、共に民主党は弾劾聴聞会を開始した。

「国民の力」の党代表候補。左から羅卿瑗、尹相鉉、元喜龍、韓東勲ら各候補


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