編集余話

日付: 2024年07月09日 11時19分

 いま韓国国会で憲政史上、例のないことが行われている。弾劾の乱発だ。それも、国のため国民のためではなく、党利党略のため、私利私欲のためにだ。憲法施行以降37年間で解任案が国会を通過したのは計6回だが、そのうち半数がこの2年間に行われた▼現在発議されている弾劾案は極めて悪質だ。金洪一放送通信委員長や、李在明代表の事件を担当してきた検事などへの弾劾である。前者は、共に民主党寄りの放送を行ってきたMBC放送を自分たちの側に引き留めておくためのものといえる。「言論改革」という名目を立て、公共放送の掌握を維持しようと強行発議。金委員長は2日、辞職した▼後者はサンバンウル対北送金事件を担当する朴庠勇検事、大庄洞・ペクヒョン洞事件を捜査した姜白信・厳熙竣検事などが対象になっている。野党「共に民主党」が、同党の代表への捜査を妨害し、裁判を有利に進行させるためのものとしかいうほかない▼共に民主党は尹錫悦政権発足後、11回も弾劾案を発議した。弾劾訴追前に辞任した放送通信委員長まで合わせると13回で、このうち自主撤回した2件を含め9件が検事を狙ったものだった▼李沅ソク検事総長は2日、「被告人である李在明氏が裁判長を、共に民主党が弁護人を務めて裁判を自ら行うようなものだ」と批判。「立法権を乱用した職権乱用に該当するとみている」と語った。権力者の刑事処罰を避けるために、検事の罷免がまかり通るのなら、もはや正常な法治国家とはいえないだろう。


閉じる