「労組改正案」野党が推進

経済界から廃止求める声
日付: 2024年07月02日 11時51分

 韓国経営者総協会(韓経総)は6月25日、ソウル市麻浦区の経総会館で「労働組合法改正反対緊急記者会見」を開き、野党が同20日、国会環境労働委員会に労働組合法改正案を提出したことについて「経済界は懸念を禁じることができない」とし、「立法推進の中止」を強く求めた。

 労働組合法改正とは「黄色い封筒法」といわれるもので、「労働組合及び労働関係調整法2条3条改正に関する法律案」を指す。2009年、双竜自動車労組が構造調整に伴う整理解雇に反対し工場を占拠してストライキを行ったことに対し、13年に裁判所が47億ウォンの賠償判決を労組に下すと、ある市民が週刊誌に10万人が4万7000ウォンずつ出して労組を助けようという内容の手紙を送ったことに由来する。これに対し、朴元淳元市長が00年に創立した「美しい財団」が、親の世代の給料が黄色い封筒に入って支給されていたことから、いわゆる「黄色い封筒プロジェクト」を行い、当時は4万5000人以上が募金活動に参加し、約15億ウォンが集まった。
黄色い封筒法は文在寅政権の国政課題であり、共に民主党の大統領選挙と総選挙の公約だった。しかし、文政権の5年間、国会環境労働委員会で黄色い封筒法を議論したのは一度だけで、「”法律の原則を揺るがす”条項が多い」として十分な議論が必要だと懸念を表明している。そのためか、黄色い封筒法が文政権時代に発議されたのは、民主党2件と正義党1件を合わせたわずか3件だけだった。
伊政権発足後、与党「国民の力」が反対する中、過半数の議席を握る最大野党「共に民主党」の主導により昨年11月9日の国会本会議で可決された。これに対し、尹大統領は12月1日、両改正案に対して拒否権を行使した。
大統領が拒否権を行使した法案が再び可決されるためには「在籍議員の過半数出席と出席議員3分の2以上の賛成」が必要となる。当時、国会(定数300)の3分の1以上の議席を占める国民の力(111議席)が否決の方針を決めており、共に民主党が野党系議員全員を集めても可決は見込めない。改正案は国会本会議で否決され、最終的に廃案となった。
黄色い封筒法は(1)労働者と直接労働契約を結んだ当事者のみを対象とするのではなく、労働条件に影響を与える人まで対象とし、対象範囲を拡大することで、労働争議の対象の幅も広くなる(2)労働組合活動による損害賠償責任が認められる場合、その損害に対して各賠償義務者別にそれぞれの帰責事由と貢献度によって責任範囲が決まる。損害賠償責任が段階的に適用される。
労組法改正により、労働組合の交渉行為と権利が拡大する一方、(1)企業の意思決定に労組協議が必要で意思決定が遅れる可能性がある(2)労組の拡大によるストライキの頻度と期間の増加(3)使用者概念の拡大による経営活動の萎縮などの懸念が出ている。
韓経総・李東根経総常勤副会長は、「野党は経済界の意見を無視し、第22代国会が開会すると同時に第21代国会の改正案よりさらに深刻な改悪案を上程した。もし法案が通過すれば労使関係の破綻を超え、国家経済まで危うくなることが懸念される」とし「今からでも国会が労働組合法改正案の立法推進を中止してほしい」と重ねて要請した。
世界でも類を見ない労組法が成立すれば、韓国経済はより困難に直面することになる。

 

 


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