在日韓国人3世のアーティスト、崔雅喜(チェ・アヒ)さんが韓国で初めて個展を開いた。ホワイトストーンギャラリーソウルにオープンした「365 Inspiration」だ。崔さんの作品については「日記を書き留めるかのように日常の美しさをキャンバスに表現している」と評価されている。
今回の個展には、パステル調の抽象画シリーズを含む造形物や、スケートボードを使ったものなど、さまざまな作品が並んでいる。自身の歩んできた人生という旅路の中で形成された潜在意識を作品として反映した。
崔さんは米国で語学研修を終えた後、デスバレーやグランドキャニオンなどを訪れ広大な西部の自然に触れ、そこで受けた感銘を芸術へと昇華させた。今回のテーマ同様、日常で得たインスピレーションをベースに、自身の冒険を日記に綴るかのごとくキャンバス上で表現している。
人目をひく鮮やかな線は、韓国と日本を行き来する在日韓国人ゆえに可能な人生の表現であり、国を自由にまたぐことによるインスピレーションの現れかもしれない。
「抽象画なので、目的や意味を定義づけるのは難しいですね。作品は夢で見たイメージを形にしたものなので、『夢の発想』とでも言いましょうか」
10年前、ソウルで開催された国際アートフェア(KIAF)に出展した際、そう語っていた崔さん。兵庫県に生まれ、大学で経済学を専攻した後、母国に語学留学した。銀行員として働くかたわら、スケートボードの選手としても活動していた。そんな多忙な日々を送りながらも、キャンバスに向かい、寝起きにはメモ用紙に落書きをするかのように絵を描いていた。そうして画家への挑戦を始め、いつの間にか世界40カ国のアートフェアに出展するほどのアーティストになった。展示はソウル龍山区のホワイトストーンギャラリーソウルで、7月21日まで開催中。
(ソウル=李民晧)
在日韓国人3世のアーティスト、崔雅喜さん
崔さんの作品は夢で見たイメージを形に