リンゴ1個6000ウォン、ナシ1個7000ウォン。10年ほど前までは1000ウォン程度だったキムパプも3000ウォン前後まで値上がりした。以前は街中の食堂で1万ウォンあれば十分だった外食代も最低15000ウォンほどに。李昌鏞・韓国銀行総裁は12日、インフレは最終局面に来ていると述べたが、はたして物価上昇は収まるのか。
韓国では物価高騰が深刻で庶民の生活を圧迫している。
コロナ禍による社会生活制限の長期化による影響で断続的な値上げが続き、その後、ウクライナ戦争や中東紛争の影響から世界的なインフレが進み軒並み2倍、3倍になっているものも。物価上昇を抑制することが急務だが、高止まりしているのが現状だ。
韓国統計庁は4日、5月の消費者物価指数を発表した。消費者物価の上昇率は昨年10月の3・8%がピークだったが、今回は前年同月比2・7%増の114・09と前月比で0・2ポイント低い上昇幅だった。
品目別では農畜水産物が8・7%上昇。特にナシ(126・3%)は調査開始以来、最も高い上昇率を示し、リンゴ(80・4%)も大幅な上昇傾向を示した。一方で豚肉(5・2%減)、国産牛肉(2・3%減)などは下落した。工業製品は前年同月比2・1%上昇。ガソリン(3・8%)、輸入乗用車(7・5%)が上昇したが、基礎化粧品(3・3%減)やラーメン(5・2%減)は下落した。
こういったなか李昌鏞・韓国銀行総裁は12日、インフレ基調が終盤に差し掛かっていると見解を述べた。この日、韓銀創立74周年記念式典で「インフレとの戦いが最後の段階に入った今、相関関係を考慮した繊細でバランスのとれた金融政策が必要だ」と話した。同氏は「政策の転換が遅すぎると、内需回復の弱体化に加え、(融資)延滞率の上昇などが続き、市場不安を招く可能性がある」とし、「逆に政策の転換が早すぎると、物価上昇率の減速速度が遅くなり、為替レートの変動性と家計負債の増加が拡大する可能性がある」と述べた。
世界的にもインフレ減速のシグナルが強まっている。12日、米労働省が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比3・3%上昇し、予想値(3・4%)を下回った。前回予想値を上回った4月のCPIに続き、2カ月連続で物価の減速傾向が続いた。
だが、米国FRBは慎重な姿勢を崩さず、ジェローム・パウエル議長は12日の記者会見で「最近の物価指標が今年初めよりも肯定的で、物価目標に向かい緩やかな進展が追加であった」と述べたが「インフレが2%で安定的に鈍化しているという確信を強化するためにはもう少し良い指標が必要だ」と付け加えた。
翌13日、米国はFOMC(連邦公開市場委員会定例会議)で政策金利(年5・25~5・5%)を維持し、7回連続での金利据え置きとなった。市場予測では今年少なくとも3回の利下げを行うと見られていたが、これにより年内の利下げ回数はこれを下回ることが確実となった。韓国(3・5%)と米国の金利差は史上最大水準である2ポイントを維持することになった。
金利高が、韓国経済の抱える大きな問題の一つである債務問題に与える影響は大きい。すでに利息さえ払えない個人・企業が増加している。だが、利下げを行えば、抑制しかけたインフレが再燃する可能性もある。米国の金融政策、そして世界情勢の影響を大きく受けるためインフレ問題は当分、不確定要素が多いといえる。