近年、日本で「韓方」(韓国の漢方)への関心が高まり、それが新たなウエルネスツーリズムを呼んでいる。先月24~27日、一般社団法人「日本韓方協会」(金允愛代表)が主催した「黒田福美と行く~韓方三昧ウエルネスツアー」は約30人の参加者と大邱・慶尚北道の関係施設を巡った。参加者の声も聞きながら、現在の「韓方」ブームの背景を探った。
講義や診療プログラムなど体験
5月24~27日、日本韓方協会主催の「黒田福美と行く~韓方三昧ウエルネスツアー」を開催、関係者を含む約30人の一行が3泊4日の旅程を満喫した。
コロナ明けから始動した人気企画の第2弾となる今回は”メディシティー”大邱広域市を中心に、慶尚北道の栄州・安東・盈徳を巡った。昨年の訪問先がソウル近郊であったのに対して、バリエーション豊かな韓方ゆかりの地を体験できるよう企画側の配慮が行き届いていた。
案内役を務める俳優の黒田福美さんは「新規でツアーに参加してくれた方が多かった」としている。
■充実の韓方ツアー旅程
初日の24日、日本各地から集まったツアー参加者は釜山の金海空港で合流。大邱に移動し、夕刻には申旃輝・百草堂韓薬房代表による特別講演「韓国の薬草について」を実施。
初日に訪れた百草堂韓薬房では、日本で市場に出回らない韓方薬材「五味子(オミジャ)」を入手すべく購入希望者が詰めかけた
2日目となる25日は、午前中に薬令市韓医薬博物館で韓方薬材を使用した石鹸作りや足湯を体験。午後は盈徳の人文ヒーリングセンター・ヨミョン(黎明/旅瞑)で、裸足で砂浜を歩き大地と触れ合うアーシング、森林での瞑想やヨガ、陰陽五行に基づいた薬膳など各種ウエルネスプログラムを体験した。
3日目の26日、栄州で花と韓方をコラボした優雅で体にも良い「花茶作り」を体験。
27日の最終日は、ツアーの目玉といえる韓方医体験。大邱の有名医院4カ所でそれぞれの希望にあった施術体験をした。昼食後に金海空港へ戻り、参加者らは関東組と関西組に分かれ、おのおのの帰路についた。
■日本で韓方への関心増
昨年に続き今年もツアーに参加した在日3世の金明姫さん(神奈川県在住)によると、今年の参加者が昨年と異なる点は、韓方への関心が高い人が多かったことだという。「食に関する何かしらの資格を持っている人の参加が多い印象だった。前回、韓方をまだ知らない人に新たに知ってもらう機会が多かったのに対して、今回は本当に関心の高い人の参加が多かったように思う」としている。
金明姫さんはまた、「リピート参加しているが、このツアーの一番の魅力は個人やグループでは絶対に行けそうもないお店や韓医院、博物館などまで、黒田さんの案内で連れて行ってもらえるところ」とし、「第3弾が企画されたら必ず参加する」と話した。
同じく二度のツアーを経験している在日2世の加藤洋子さん(愛知県在住)は、「昨年7月の講演を聴いた縁で日本韓方協会とつながりができた。親が1世なので、韓方は昔からよく飲まされていた。今回は大邱を歩いてみて、生活に根付いた韓方への信頼を立体的に、より深めることができた」としている。
黒田福美さんは、「ツアーを構成する段階で、ややコアな内容に皆さんがついてきてくれるか心配だったが、蓋を開けてみると皆さん韓方に深い知識や関心があった。またそうでない方も素直に韓方文化を楽しんでいただける旅になった」と今回のツアーを振り返っている。
日本韓方協会の金允愛代表は、「参加してくれた皆さんに楽しんでいただけたのは、ツアーの実質的な企画者である顧問の韓重澤さんに負うところが大きい。現地・韓国に精通していて、優れたコンテンツを見つけてきてくれるのは韓さんで、とても感謝している」と話す。「在日3世は韓方の魅力を伝えられる最後の世代。おじいちゃん・おばあちゃんが病気に効く薬草を摘んできてくれた私の経験は、4世・5世ではもう味わえない体験になっている。暮らしに根付いた韓方の魅力を今後も伝えていけるように、会としての企画をより充実させていきたい」と語った。
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ツアー2日目、ウエルネスプログラムの一環で海岸を裸足で歩くアーシングを体験。大地と砂、波の感触に童心にかえるひと時