「ウエルネス」に特化した日本で唯一の展示会「第2回国際ウエルネスツーリズムEXPO」が8~10日、東京ビッグサイトで開催。韓国ブースには各地の自治体や健康・美容関連産業など17団体が出展。観光と美容体験が一体となった、業界の今を知ることのできる機会として注目されている。
多彩な韓国コンテンツ訴求
江東区の東京ビッグサイトで8~10日、RX Japan(田中岳志代表)主催の「第2回国際ウエルネスツーリズムEXPO」を開催。海外ブースとしてパビリオンを構えたのは韓国・スリランカ・フィリピンの3カ国のみだったが、韓国ブースには各地の自治体や美容関係者など17団体が出展し、最も多かった。
韓国観光公社が参加を促し、首都圏以外からも各自治体関係者、歯科・整形外科などの美容専門関連団体が出展した。
■ツーリズムの韓日近況
大田広域市には約2300の医療機関があり、医療観光の誘致に力を入れているという。その一環として、KPOPやトロットなど有名歌手が出演する例年8月に行われている「0時祭り」に合わせた美容・健康診断ツアープランを用意し、そこに熱気球体験をはじめ、公州や扶余など周辺地域への観光を盛り込む。
朴宣貞・大田観光公社融合事業チーム代理は、「ソウルなどに比べて見どころが多くない分、大田では多様なコンテンツを提供し、科学体験なども含め、ゆったりと観光できるよう工夫している」と話した。
また、金恵敬・大邱医療観光振興院医療観光マーケティング部主任研究員によると、大邱広域市は韓国国内で唯一「メディシティー」を名のることができる都市ブランドを持っているという。薬令市場などが有名だが、地域には生薬を作ることのできる自然環境・歴史文化が備わっており、韓方(韓国の漢方)に興味を持つ中高年層が多く足を運んでいる。大邱ではまた、韓国伝統文化体験館・樹木園・エステティック・リゾートスパバレーのような、今年に入り韓国の文化体育観光部が選定したウエルネス観光地も人気だ。
金研究員は「大邱を気に入って頂いた日本の観光客はリピーターになってくれることが多く、最近ではスキンケアやカット・パーマ、眉毛のアートメイクやヘッドスパなどで男性の利用客も少しずつ増えてきている」とした。
■ウエルネスの韓日近況
製品について説明する尹得烈・ミニッシュテクノロジー海外事業部部長。日本市場への進出意欲もみせていた
韓国を訪れる日本の女性客に人気の訪問先として、エステなどの美容を目的とした医療施設が思い浮かぶ。先述した韓方のような東洋医学系の施術が体験できる施設も多いが、直近のトレンドとして出展者の声に耳を傾けたい。
江南に15階建てのビルを構える「ビュー美容外科」は世界11カ国語に対応しており、50カ国以上の診療実績を持つ。「日本から毎月40人ほどの施術希望者が訪れており、今後の市場拡大に期待している」と朴訂炫・ビュー整形外科海外事業部部長は話す。
同じく江南に高層ビルを構えている「ミニッシュ歯科病院」は、入れ歯でも差し歯でもインプラントでもない、歯の表面に接着させるワンデイ式の独自の製品を展開。天然歯に最も近い素材を使用しており”外見のためではなく、健康のため”の治療アイテムである点が特徴的だ。
尹得烈・ミニッシュテクノロジー海外事業部部長は、「日本市場に技術を持ち込み、ミニッシュの名前で進出する機会を得るために出展した。日本ではインプラントなど、高齢者が高額な診療を受けることが多いが、ミニッシュなら若者が美容目的で利用することもできる」として独自の技術や日本市場進出の意気込みを語った。
今回の展示に即していえば、ウエルネスは首都圏、ツーリズムは地方で、より力を入れている印象だ。コロナが収束し、本格化してきたウエルネスツーリズムをビジネスチャンスにつなげるべく韓国が国をあげて支援・アピールの輪を広めている。
今回のEXPOを通し、韓日両国のウィンウィンの関係構築がより進むことを期待したい。
朴訂炫・ビュー整形外科海外事業部部長は、18年間で病院が大企業に成長できた理由の1つとして日本市場の重要性を強調