民団中央は4月30日、金利中団長名で「入管法改定案に関する声明文」を発表した。
日本政府は「永住者」の在留資格を有する外国人について、税金や社会保険料を滞納した場合や、1年以下の懲役・禁固刑を受けた場合に、在留資格取り消しを可能とする入国管理法の改定案を示し、3月15日に閣議決定した。
これに対して声明文では、「数万名もの永住資格を持ち、長年にわたり日本に居住する在日韓国人同胞の生活および権利が著しく侵害されるものであると言わざる得ません」と異を唱えている。
「日本国内で居住していても加齢・病気・事故・社会状況の変化など、長年日本で生活していくうちに許可時の条件が満たされなくなることは起こり得ます。税金等の少額未納が発生した場合や過失犯も含めた軽微な犯罪の場合に在留資格を取り消されることがあり得るという立場に置くこと自体、『永住者』に対する深刻なる差別であると言えます」と問題点を指摘している。
在日韓国人について「長年、日本に居住しながら地域に根差して生活する『永住者』や、日本で生まれ日本語しかわからない2世、3世の『永住者』も多くおります。日本市民と共に生活をしながら、地域社会の発展に貢献しています」と実態を説明。
入管法改定案による在留資格取消制度の導入を「日本政府が目指す『共生社会の実現』に逆行するばかりか、歴史的な背景により日本に居住するに至った在日韓国人の『永住者』や、また生活上の様々な事情により、余儀なく日本に居住するに至った在日外国人の『永住者』、さらにはその子孫までも対象とし、納税不履行や軽微な刑事罰等によって簡単に永住資格が取り消される」ことを憂慮している。
同法案について「有識者会議でも全く検討されないままにこの点が唐突に提案されており、拙速に具体化すべきものではありません」と問題視し、民団として「この度の日本政府の入管法改定案は『永住者』の生活、人権を脅かす重大事案と認識し、是正を強く求めます」と要望している。