米国のバイデン大統領は、動画共有アプリ「TikTok」について、同アプリを運営する中国のバイトダンス社に対し、米資産売却を行わなければアプリの利用を禁止する法案に署名した。以前から「TikTok」については、プロパガンダ工作に適した動画を意図的に「おすすめ動画」として表示したり、ユーザーの情報が中国当局に収集される危険性も指摘されていた▼注意すべきアプリはTikTokだけではない。米大手IT企業の総称であるGAFA(Google、Amazon、FaceBook、Apple)も、多くの個人情報を収集し、メタデータとして分析利用している▼中国は共産主義国家だから危険度は高いが、それでも米国は自由民主主義国家だからよくて、中国はダメということにはならないだろう。そう考えると、TikTokは危険というのも一種の政治的プロパガンダともいえる▼著名人が「なりすまし広告」に使われ、それを本人のものと勘違いしたユーザーが詐欺被害にあう例も報告されている。運営側は対策を講じているというが、偽広告と本物の広告を見分けることは難しいという▼自国の個人情報の流出は当然、国家が積極的に防ぐべきだろう。安全保障にかかわる情報や技術であれば、他国への流出は徹底的に防ぐ、というのは分かりやすい。だが、個人情報の流出は線引きが難しいがゆえに、規制も難しい。世界がネットでつながりより近くなっていく流れの中、課題は多い。難しい時代になってきた。