17日、第41期となる市民講座「朝鮮文化講座」の第1回講演会を都内で開催。13人が聴講した。
小川晴久・東京大学名誉教授が「先住民文化から学んで文明観の変革を」と題して講演した。小川名誉教授は朝鮮時代の実学を専門にした著作だけでなく『南の発見と自立』(1996年)で提示したように、南北問題と地球環境をリンクした価値観を早くから提唱していた。
今期の講座は、米国の独立宣言(1776年)が唱えられる上で重要な役割を果たしたイロコイ憲章を代表とする、先住民族文化と向き合うことをテーマにすると強調した。
質疑応答の場で参加者の増田惠津子さんから、なぜ「朝鮮」を冠した講座で韓国のことに全く触れられないのかを疑問視し、また講演の中でアイヌについて一言も触れなかったことに疑問を呈した。植民地朝鮮と同様に近代日本帝国の被害に遭ったアイヌや琉球を思っての質問だった。
小川名誉教授は直接的な回答を避けたが、「参加者が自身の問題とつなげて講演に参加してくれることを期待する」と述べた。
42年目の教壇に立つ小川晴久・東京大学名誉教授