10日に行われた韓国の総選挙(300議席)は、野党第一党の「共に民主党」が175議席、同党の衛星党といえる「祖国革新党」が12議席を獲得するなどして圧勝、与党「国民の力」は惨敗した。これで政局の主導権は完全に野党が握る構図となった。尹錫悦政権は今後、難しいかじ取りを迫られることになる▼日本のメディアも同選挙を大きく扱った。最大の関心事は、今後の「日韓関係への影響」だ。野党は日本との協力を積極的に進める尹政権に対し、「弱腰外交」などと非難してきた。彼らが尹政権をけん制するため対日政策への批判を強める可能性は高い▼外交は大統領の権限である。だが大統領の支持基盤が揺らぐことで、政権がレームダック化していくのは避けられない。韓日関係の改善を尹政権が覆すことがないことを祈りたいが、これまでと同様に、とはいかないかもしれない▼林芳正官房長官は、与党の大敗が関係改善に向かっていた日韓関係に影響するかについて問われ「日韓の対話と協力は政治や安全保障、経済など様々な分野で質・量ともに力強く拡大している」と強調した。だが岸田内閣の支持率は10%台に落ちており、岸田政権が退陣するようなことになれば、両国関係が再び停滞する危険性もある▼尹政権発足後、韓日関係は急速に改善した。ビジネスの分野では堰を切ったように協力が進んだ。民間交流も活発だ。外交関係が悪化しても、両国の交流は続くが、懸け橋となる在日同胞の役割はこれまで以上に重要になるだろう。