中東との経済連携加速

尹政権の官民一体策が結実
日付: 2024年04月09日 12時45分

 尹錫悦政権発足後、脱中国の方向性を明確にし、貿易相手国の多角化を進めてきた。そのなかでも中東は韓国にとって最重要地域。昨年11月、尹大統領はサウジアラビア、カタールを歴訪し、経済外交を展開、202億ドル規模のMOU(了解覚書)を締結した。昨年末から韓国と中東諸国との関係は緊密化し、今年に入ってさらに活発化している。

 サムスンE&AとGS建設は3日、サウジアラビアで72億2000万ドル規模のガスプラント工事を受注したと発表した。
これは、昨年の韓国の建設会社の海外受注総額333億ドルの5分の1に相当する規模で、韓国企業がサウジから受注した建設事業としては最大級となる。韓国が海外から受注した事業の中でもアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発(2009年、191億ドル)、イラクのビスマヤ新都市(12年、77億ドル)に次いで3番目に大きい。
サムスンE&Aがサウジ国営石油会社のアラムコから受注した「ガス増設プログラムパッケージ1・4番」の工事は60億7000万ドル、GS建設も同プロジェクトの一つである「2番パッケージ」を受注した。受注額は12億2000万ドル。
韓国大統領室はこの日、「今年に入り今月2日までの海外建設受注額は前年同期61億1000万ドルの2倍を超えた127億2000万ドルに達することになる。韓国とサウジの首脳外交の成果」と評価した。
さらに大統領室は、尹錫悦大統領とサウジのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子兼首相との数回にわたる会談に言及し、「両首脳は両国関係を未来志向的戦略パートナー関係に発展させ、インフラ分野で大規模な経済協力を推進することで意見が一致した」とし、「政府は今後も両国首脳間に構築された堅固な信頼関係を土台に、サウジのアラムコ、国富ファンド(PIF)、ネオムなど主要発注先のインフラ、プラント、スマートシティーなど、メガプロジェクト受注を全方位で支援する計画」と述べた。
韓国政府は韓国企業の海外受注を積極的に支援しており、官民一体となった受注戦略が実を結んだかっこうだ。
同プロジェクト以外にも韓国企業によるサウジ大型工事受注は増加傾向にある。昨年6月に現代建設がサウジで50億ドル規模の石油化学プラント建設事業のアミラルプロジェクトを受注し、10月には現代建設と現代エンジニアリングが共同でジャフラ2段階ガスプラント工事を24億ドルで受注した。
中東地域でプレゼンスを増す韓国企業だが、それに呼応する動きが活発化してきている。
中東の航空会社が、ドバイやアブダビなどからの直航便の拡大を実施。エティハド航空は5月1日から「仁川―アブダビ」路線を週7便から11便に増便する。エティハド航空は創立20周年に合わせて「ビジョン2030」を発表しており、航空機保有を2倍に、乗客数を3倍に増やす計画を明らかにしている。
すでにサウジアラビア航空は「仁川―リヤド」「仁川―ジェッダ」路線を再就航させた。かつて中東が建設ブームでわいたころ、韓国の建設関係者を運んだ路線だ。
昨年12月には湾岸協力会議6カ国(UAE、サウジアラビア、カタール、クウェート、バーレーン、オマーン)と自由貿易協定(FTA)を締結。23年4月にはUAEと包括的経済連携協定(CEPA)を妥結していたが、FTAの締結により中東への輸出競争力を強化している。
今年に入り、2月には中距離地対空迎撃ミサイル「天弓2」をサウジに32億ドルで輸出する契約を結んでいる。

 


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