韓国経済を牽引した本国投資協会の半世紀 第1回

「在日同胞」による母国投資
日付: 2024年04月09日 12時41分

 1974年「在日韓国人本国投資協会」設立から半世紀、韓国経済は目覚ましい成長を遂げてきた。韓国はその間、世界の経済大国トップ10入りを果たし、1人当たりの国民所得(GNI)も3万5000ドルに達した。その背景には、韓国経済の一翼を担ってきた在日同胞による母国投資があった。
「母国への貢献」の心から生まれた在日同胞による多方面にわたる投資は、韓国が先進国へと飛躍する足がかりとなった。
それは数字上でも証明されている。在日同胞による母国投資は一時期、外国人投資の総額を上回っていた。金額ベースでは全世界の在外同胞による母国投資の中で8割に達した。
「韓国の経済成長における在日の役割を過小評価してはならない。60年代初頭、経済開発計画を推進した当時、外国人による直接投資は米国を除けば皆無の状態だった。65年の韓日国交正常化直後に行われた海外から韓国への民間投資は、そのほとんどが在日同胞によるものだった。70年代半ばまで、日本による直接投資は在日同胞と何らかの形で関わりがあった」(東亜大学経済学科・金昌男教授、1995年7月30日、投資協会『会報』)。
60年代から70年代の産業化初期に行われた在日同胞の投資は、ほとんどが製造業に対するものだった。同胞系企業は、ソウルの九老公団をはじめ、仁川の富平、京畿道の安山半月、慶尚北道の亀尾、慶尚南道の馬山・昌原などに進出した。製造業はその特性上、多くの労働力を必要とするため、同胞企業は、韓国が慢性的に抱えていた失業問題を解消するための牽引役を果たした。
韓国の立場としては、在日同胞による母国投資は「一石二鳥」そのものだった。外資を誘致すると同時に「愛国の資本」としての役割を担っていたからだ。
九老公団などに入居する同胞系企業が生産した製品はすべてが輸出用であり、まさに「ドル箱」さながらの状態だった。90年代まではたびたびニュースで「外貨充足率」(輸出によって実際に稼いだ外貨の割合)が取り上げられていたが、その割合を押し上げた企業こそが在日同胞の母国投資企業なのだ。
母国に対する在日同胞の経済的貢献は、政府が集計した投資額からも確認できる。62年から96年3月までに外国人が韓国に直接投資したのは、認可ベースで5443件、金額にすると149億2000万ドルに上る。
国別では、日本が2676件53億5000万ドルで最多だ。続いて米国が1346件43億1000万ドルで2位に就いている。日米を除く国々による投資額は、すべてを合計しても日米の10%程度に過ぎない。金額ベースでは、日本の対韓投資額は米国のそれより10億4000万ドル多く、そのほとんどは在日同胞に関わりのある投資だった。
(ソウル=李民晧)

1960年代初頭、金浦空港に着いた在日同胞の母国投資視察団


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