6日、日本東アジア実学研究会(片岡龍会長)が4月例会をオンラインで開催。「超高齢社会における生涯観(ライフコース)」をテーマに冨澤公子・立命館大学客員研究員が講演。会員を中心に約20人が視聴した。
冨澤研究員の一連の著作によると、日本の奄美群島の与論島では「長寿多子」の習俗が地域的に根付いているという。琉球王朝の時代から続く、親しみを込めた呼称「ヤーナー(家名)」の分析を中心にした報告を行った(韓国でいうと、朝鮮王朝時代の士大夫が先生を呼ぶときの「号」であったり、友人への「字」による呼称などの使用が家名に近い)。
冨澤研究員の分析が研究者の視点であったのに対し、質疑応答の場では実際に「ウシ」の家名を持つ町泰樹・鹿児島工業高等専門学校准教授が、現地に住まう立場から知見を述べた。
同じく与論島の出身で作家の喜山荘一氏は、「冨澤さんのお話や、研究への思いなど気持ちはよく分かるし理解できるが、現地の人間に共感できない部分があるという点は率直に伝えておきたい」と話した。
小川晴久・東京大学名誉教授は、冨澤研究員の報告が先住民族の文化とも通底し、21世紀の人類が学ばなくてはならない自由・平等・博愛の精神をまともに見据えるための例として参考になったと感想を伝えた。