ノンバンクの不良債権急増

韓国金融8社が利子減免の方針
日付: 2024年04月02日 12時23分

 国家・企業・個人が抱える債務は韓国経済にとって大きな問題だ。さらに内需の回復が遅れ、高金利が長期化し解決の糸口さえ見えてこない状況だ。債務を抱えていても返済ができていれば経済は回る。だが、昨年から融資返済の遅延が増え、不良債権化の加速が懸念されている。

 

 韓国銀行は3月28日、「金融安定状況報告書」を発表した。
それによると、国内金融機関の2023年末時点の不良債権(NPL)は43兆7000億ウォンで、前年同期の28兆1000億ウォンから大幅に増加した。
金融機関別にみると、銀行の不良債権は12兆5000億ウォンで23・8%増だったが、与信専門金融会社、相互金融、貯蓄銀行を含むノンバンクの不良債権は73・4%増の31兆2000億ウォンと大きく拡大した。
延滞期間が3カ月を超え、回収が難しいと見なされる「固定以下与信」の割合が増加したことも不安材料だ。
貯蓄銀行の固定以下与信の割合は7・09%で3・44%増。相互金融は3・97%で1・8%増。与信専門金融機関は1・64%で0・4%増。
一方、不良債権の増加に伴い、担保の売却や償却の規模が膨らんだ。
昨年の売却・償却は24兆3000億ウォンで、22年の13兆4000億ウォンから81・3%増加した。銀行は9兆1000億ウォン、ノンバンクは15兆2000億ウォンでそれぞれ93・6%、74・4%増加した。
金融機関のデータを裏付けるように、融資を受けた企業や個人が返済に困窮しているというデータも出ている。
国会企画財政委員会のヤン・ギョンスク議員は3月4日、国会で「個人事業者融資現況」を発表した、
資料によると、自営業者の長期延滞率は昨年、急速に上昇した。延滞率は2020~22年までは1・4~1・7%増にとどまっていた。
日本でも、コロナ禍で売上げが減少した個人事業者や中小企業に対し、無利子・無担保で融資を行った「ゼロゼロ融資」の返済遅延が問題化しているが、韓国も同様だ。
コロナの影響を受けた自営業者を対象に貸付満期の延長と元利金返済猶予措置が終わったことから、昨年12月末には長期延滞率が2・5%増と急激に上がった。自営業者全体の融資残高は約1110兆ウォンだが、3カ月以上の長期延滞融資残高は27兆ウォンと前年から9兆ウォン増えた。多重債務者(3カ所以上の金融機関から融資を受けた債務者)数も、昨年末基準で173万1283人で、1年前より5万119人(2・98%)増えた。国内景気が低迷しており、改善の兆しが見えないことから、今後さらに増加すると見られている。
高金利の長期化の影響も出始めている。
韓国資産管理公社(KAMCO)は2月29日、23年不良債権担保物現況を発表した。それによると、マンションやオフィステルなど担保がある個人担保債権は22年の482件から1645件に増加した。
こういったなかBNK・IBK・KB・NH・新韓・ウリィ金融・ハナ・韓国投資貯蓄銀行など国内金融グループ系列貯蓄銀行8社は、自主債務調整承認顧客に対して延滞利子はもちろん通常利子も全額減免することを決めた。
3カ月以上延滞した個人と個人事業者に対して債務調整支援審査を実施し、残余元金基準で償還日程を調整することになる。
今月10日に国会議員総選挙を迎えるが、各政党は、個人債務者の支援政策を打ち出している。
一方で、不良債権化の懸念が大きい不動産プロジェクトファイナンス(PF)や、企業負債については具体的な動きは少ない。
昨年末に経営難が表面化した泰栄建設の資本状況について3月14日、韓国金融監督院の電子公示システムが同社の自己資本はマイナス5626ウォンと発表した。泰栄建設の経営難は氷山の一角だと指摘する人もいる。デベロッパー、ゼネコンなどの大型倒産の可能性が懸念されている。


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