「在日奨学事業を継承・発展」

金泳佑・新会長に聞く
日付: 2024年04月02日 12時14分

 投資協会の旗振り役として新たに就任した金泳佑会長は「新しい環境に応じて在日同胞の母国投資範囲を拡大するよう努力する。奨学事業が、やがて投資協会を超え、在日同胞社会の各所で反響を得られるよう努力していく」と語った。
(ソウル=李民晧)

 韓国に進出したきっかけは。

「韓国に来たのは1990年。当初は韓一電機グループの事業を展開することが目的だったが、はじめの頃は韓国語を話すことができず、とても大変だった。日韓、韓日などの辞書を4冊も常備していたほどで、来韓間もない頃はまさに生き残るためのサバイバル、ともいえる状態だった」

 投資協会での活動について。

「父(金相浩・韓一電機グループ創業者)が投資協会の創立メンバーだったので、協会の存在は認識していた。本格的な活動を始めたのは2000年頃から。協会には私と似たような境遇の経営者が何人もいた。日本できちんと民族教育を受けることもなく、民団関係の活動に加わったこともなかったので、当初は皆とても苦労した。同病相憐れむというか以心伝心というか、素晴らしい方々との出会いに恵まれ、交流することができたのは幸いだった」

 会長として特に注力したい事業は。

「韓国の経済発展に貢献してきた先輩らの高貴な志を受け継ぎ、後輩たちに伝えていきたい。そのためには、投資協会が新たな環境に合わせて業務の幅を広げる必要がある。これについては慎重に検討を進め、時代と環境の変化に対応するためにはどうすればいいか、引き続き研究していきたいと思っている」

 次世代育成プログラムである奨学事業について。

「何よりも嬉しいのは、手探り状態で始めたプロジェクトが軌道に乗ったことだ。特に、韓国語や韓国文化に触れる機会の少ない日本の公立学校出身の学生が奨学生に選ばれるケースが増えている。応募者の出身地も、今では日本全国に広がっている。会員の皆様によるご支援がもたらした成果だと思う。今後は会員企業のみならず、在日同胞社会の各所で母国で学ぶ次世代を支えられるよう力を合わせていきたい」

■金泳佑 1952年5月1日生まれ、早稲田大学政治経済学部卒業。韓一電機グループ代表取締役。

韓一電機グループは1964年、在日1世・金相浩氏が国と社会に貢献することを目的に創業した母国投資企業であり、今年で60周年を迎える。ポンプ、扇風機、加湿器、ヒーターなどを主力とする、韓国で最も古い歴史を持つ生活家電製品メーカー。


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