韓国経済減速で韓国に商機

アジアのビジネスハブ国家へ
日付: 2024年03月26日 11時59分

 改革開放以来、急成長を続けてきた中国経済に陰りが見え始めた。米国を抜くのは時間の問題とも言われてきたが、その可能性も低くなってきた。中国経済の不振は、韓国にも大きな影響を及ぼす。一方で韓国が中国に代わって東アジアのビジネスハブ国家となる機会が到来したとの見方も出ている。

 中国経済の減速が著しい。中国政府の発表によると、2023年の中国の実質GDP成長率は前年比5・2%増で、目標だった「5%前後」の伸びを達成した。だが、新型コロナ流行の影響を受けて低水準の成長率だった22年の3・0%増からのベース効果によって押し上げられた部分も大きい。実態としては、長引く不動産不況に加え、雇用不安もあり国内消費は活力に乏しい。中国最大の年間行事の一つである春節(旧正月)の大型連休でも1人当たりの観光支出額の平均は1335元にとどまり、19年の1475元を9・5%下回った(ロイター調べ)。不況のなか中国人の節約志向が続いている。
海外企業も中国市場に見切りをつけて、脱中国へと舵を切っていることが如実に示されたデータが発表された。昨年の中国への直接投資額が前年比82%減の330億ドルにとどまり、30年ぶりの低水準になったことが明らかになった。中国国内の景気減速に加え、昨年7月に施行された改正反スパイ法など中国での事業環境の悪化から海外企業が一斉に脱中国へ向かったと見られている。
韓国は数十年間にわたり中国経済への依存度が高かった。尹錫悦政権発足後、脱中国に大きくシフトし、輸出先の多角化を図ってきたが、それでも中国の景気低迷が長期化すれば、韓国への影響も免れない。世界経済からの切り離しが急速に進んでおり、中国経済は内からも外からも極めて厳しい危機に直面している。
一方で、韓国にとって中国経済の弱体化は大きなチャンスだとの声もあがっている。
これまで、サプライチェーンは中国が中心となっていたが、海外企業が中国から離れることで、韓国がグローバル企業のアジア地域の拠点に浮上する機会をつかんだという主張だ。今後の経済の伸びしろは、中国よりも東南アジアのほうがずっと大きい。半導体、EVバッテリー、人工知能などの最先端技術に関連する産業が今後、貿易の主軸になっていくと見られるが、韓国はその技術を有しているうえ、立地的にも最適だからだ。
駐韓米国商工会議所は18日、「韓国のグローバル企業アジア太平洋地域拠点誘致戦略報告書」を大統領室に提出した。駐韓米国商工会議所が大統領に対して、提案書を提出したのは初めてのこと。
今回の報告書は、駐韓米国商工会議所会員企業約800社を対象に行った国内経営環境アンケートとともに、各国の政策比較を盛り込んだ。報告書では脱中国候補地として、韓国がシンガポールに次いで「アジア太平洋本部を置きたい国」として2位になった。韓国が中国に代わって、アジアのビジネスハブになるためにいくつかの課題は当然、ある。
一つはインフラの整備だ。仁川空港に代表される航空インフラやネット環境などはすでに世界的にも高水準にあるが、さらなる向上が求められる。
これに関しては、韓国政府は昨年、「グローバルメガハブ空港に飛躍するための計画」を発表している。仁川空港第2ターミナルを拡大し、旅客収容規模を約3000万人以上とする建設計画を今年10月に完了する。航空路線も米国、日本など50カ国の航空自由化協定締結国を中国、欧州連合(EU)、インドネシアなどに拡大し、30年までに70カ国に拡大すると発表している。釜山も『グローバルハブ都市特別法』を制定する計画で、北港を再開発し海運インフラを整備することを発表。新空港の開港やソウルと釜山を結ぶ鉄道・京釜線の地下化を推進する予定。
課題はビジネス面での規制。駐韓米国商工会議所の報告書でも(1)週52時間勤務制(2)非定期税務調査(3)職場内ハラスメント禁止法(4)重大災害処罰法などを挙げ、グローバルスタンダードに合わない規制を緩和するだけで、グローバル企業がアジア・太平洋本部を韓国に移転する可能性が高いと指摘している。
また、経済面での韓日連携も今後、さらに重要になってくるだろう。

 

 


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