「元心昌記念館」が17日、韓国平沢で開館した。元心昌は上海で抗日独立運動「六三亭義挙」を展開し、解放後は日本にとどまった。1950年代に「統協」を拠点に民族”統一運動”を展開した人士で、民団創立者でもある▼いまや韓国人の3割以上が「南北統一は不要」と考えるなど、特に若い世代を中心に南北統一への意欲は低下している。しかも、この傾向は年々強まっている▼だが、南北統一は韓国が抱える最大の懸念であり課題でもある。目を背けられない問題だ。尹錫悦大統領は1日、「3・1節」記念演説を通じて「自由と豊かさを享受する統一が三一運動の完成だ」と述べた。大統領室関係者はこの演説について、自由民主主義の価値を反映した「新たな統一ビジョン」の準備に入るものであると伝えた▼尹政権が作成する「統一案」がどういったものになるかは分からないが、統一部の役割は重要になっていくだろう。実効性を高めるには、国情院や軍など諜報機関の情報も必要だ▼韓国を「第1の敵対国」と規定した金正恩は「統一、和解、同族という概念自体を完全に除去しなければならない」と言及した。北韓は言葉だけではなく、核開発やミサイル実験をはじめとする軍事的挑発をやめる気配はなく、緊張感は高いままだ▼少子化や兵役忌避など、南北統一で改善される見込みのある社会・経済的な問題は少なくない。そんな時期に「元心昌記念館」が開館した。韓国国民、そして在日同胞も統一問題を再び考える契機とすべきだろう。