現代社会において急速に進化するAI(人工知能)市場は、大きな可能性を秘めている。昨年、登場したChatGPTは生成AIをより身近なものとした。今後、一般企業にとどまらず飲食や小売りほか多くの業種で導入が予測されている。そういったなか、韓国企業のAI開発も活発化しており、さまざまなサービスが発表されている。
世界のAI市場は数十兆ウォン規模に達し、今後もその成長が期待されている。ドイツのオンラインプラットフォーム「Statista」によると、世界のAI市場規模は2022年に前年比78・4%増の18兆7148億円に成長したとし、30年まで継続して拡大していくと予測している。
昨年、OpenAIのAIチャットサービス「ChatGPT」の登場は世界に大きな衝撃を与えた。それからおよそ1年、AI活用のハードルは日々下がりつつあり、さまざまなシーンでAIが利用される場面が増えた。
AIを活用したサービスは多様化し、チャット、画像、動画など様々なジャンルで手軽にAIを導入できるようになった。AIの活用が「当たり前」に近づく中で、AI導入が遅れることは多くの企業において競合他社に対し劣勢に立たされることになる。
こういったなか、韓国でも大企業から中小、スタートアップまで投資・開発・導入などさまざまな形で積極化している。
また、AIを利用したサービスも次々と発表されている。
SNSで「AIプロフィル」が注目を集めている。これは、AIを用いてユーザーのプロフィル画像を生成する新たなトレンドだ。韓国で1月にリリースされたカメラアプリ「SNOW(スノー)」のAIアバター生成サービスが、約2週間で20万人以上のユーザーを集め話題となった。
サムスン電子が、Androidスマートフォンの新製品として1月に発表した「Galaxy S24」シリーズには「Galaxy AI」という同社独自のAI機能が搭載されている。検索、翻訳、Webページやメモを要約する機能などAIを活用し、より利便性の高いものとなっている。
韓国の済州特別自治道は、道庁のニュース番組「ウイークリー済州」にAIアナウンサーを導入した。毎週金曜日に出演し、1週間の主要ニュースを伝える。アナウンサーの名前は「ジェイナ」で、決まった文章のみを読む「バーチャルヒューマン」に属する。
同じく鎮安郡認知症安心センターはAIの技術を活用したケアロボットを利用することで、認知症の高齢者100人を支援している。このケアロボットは高齢者の話し相手になるだけではなく、歌、昔話、クイズなどを楽しんだりすることができる。
LG電子は12日、米国のスタートアップ企業「ベア・ロボティクス」に、6000万ドルを投資すると発表した。ベア・ロボティクスは17年、米シリコンバレーのレッドウッドシティに設立された自動運転サービスロボット会社。LG電子は、商業用ロボットの分野を「未来の成長エンジン」と位置付けている。
通信の分野でも変革が起きている。
SKテレコムは「グローバルAIカンパニー」を目標に掲げ、AIを使ったさまざまなサービスの開発を行っている。代表的なものはAIコールセンター。基本的な対応を人に代わってAIが処理し、オペレーターが対応する際もどう答えるべきかをAIが社内文書を検索して提示するというものだ。
韓国のAIスタートアップの日本進出も活発化している。代表的な生成AIスタートアップである「リートンテクノロジーズ」、チャットAI「AskUp」を展開する「アップステージ」、ドローンやロボットを開発する「ソテリア8」などだ。
日本市場はAIサービスの成長性が高いと思われることから韓国企業の日本進出、韓日協業が今後さらに進むと見られている。