ウクライナに降伏を要求するロシア

同盟国の信頼まで失う米国の混沌
日付: 2024年03月19日 12時14分

 プーチン大統領が大統領選挙で国民の圧倒的信任を受けた。ロシアはウクライナ戦争を通じて団結し強くなった。ロシアではウクライナの未来領土管理に対する構想を固め、メドベージェフ国家安保会の副議長は、キーウ側に無条件降伏を要求した。一方、米バイデン政権は、メディアを動員したプロパガンダ以外には明確な戦略、政策を打ち出せず、11月の大統領選挙のため国際秩序の現状維持に追われている。イスラエルのネタニヤフ政権が米国の負担となってきた。西欧もゼレンスキー側の敗北を受け入れる雰囲気へと変化、11月の米統領選挙でトランプの当選がもたらすNATOの将来に対する不安と対策に苦心している。

 

 プーチン大統領が大統領選挙で圧倒的な信任を得た。戦争で勝利し国家を富強にした指導者が国民の支持を受けるのは当然だ。プーチン大統領は、内外の長期戦略とビジョンを推進する基盤をさらに固めた。西欧は、ロシア大統領選挙に問題があったなどと批判するが、彼らが支援するゼレンスキーは、戦争中という口実で選挙もしない。ゼレンスキー自身が米英によっていつ交替させられるか分からない。
そもそも西欧のメディアが選挙問題でロシアを批判するのがおかしい。民主党が掌握した米国の選営は最悪だ。米国は、店で酒を購入し飲むにも成年であることを証明せねばならないのに、いざ投票場では身分すら確認しない。公正選挙を云々できる状況でない。
米英などは、ロシアの侵攻からウクライナ領土を守らなければならないと主張するが、バイデンは南部国境を開放、年間少なくとも300万人以上の不法入国者を受け入れ、彼らに莫大な資金を使っている。さらに、不法入国者数の統計を減らすため、中南米から延べ32万人を航空機で輸送した事実も報道(4日、Daily Mail)された。不法入国者問題は、米大統領選挙の最大の問題となった。
バイデンは、敗北と言われるのを嫌うが、米国を信じロシアと戦い、莫大な財政・軍事費を抱えたEUはパニックに陥った。
イスラエル建国以来、「運命共同体」のようにイスラエル側に味方してきた米国とイスラエルの関係にも亀裂が入った。イスラエルが米国の負担となると、ワシントンではネタニヤフ政権交代議論が出る。イスラエルも、米国からの独り立ちを覚悟している。
歴史的に自主外交を強調してきたフランスが存在感を表わそうとする。マクロン大統領は、欧州諸国にロシアとの戦争を扇動した。だが、フランスには現代的な戦争のできる戦闘準備ができている軍隊がない。
マクロン大統領の言葉ばかりの煽りを周辺国は知っている。欧州諸国が、ワシントンの保護なしに、西欧を侵攻する意思のない、核強大国のロシアと戦争するのは自滅だ。フランスは東西冷戦のときもNATO司令部からフランス軍を撤収(1966年)、冷戦終息後、NATO同盟が要らなくなった後、NATOに復帰(2009年3月)した。一方、中国軍代弁人は、もし米国がロシアを攻撃すれば、中国は軍事的に対応すると表明した。
EUも執行委員長やイタリア・ギリシャ・キプロス首脳など、EU代表団が17日、カイロを訪問、エジプト大統領と「戦略的かつ包括的なパートナーシップ」を締結した。エジプトに今後3年間74億ユーロの補助金と融資を支援する案も含まれた。EUの大規模の経済援助は、エジプトの経済難と欧州への移民者爆増を考慮した措置と言われる。戦争難民問題は深刻だ。イスラエルとハマスの戦争で、パレスチナのラファに押し寄せた避難民は100万人を上回る。イスラエルがラファを地上攻撃すれば難民がエジプト(シナイ半島)に進入し、多くは地中海を渡りヨーロッパを目指すことになる。アフリカ・中東難民を受け入れてきたEUは、地中海を通じての難民流入防止のためチュニジア、モーリタニアとも資金を支援するパートナーシップを結んだ。
一方、訪米中、トランプ大統領と会った(9日)ビクトル・オルバーン・ハンガリー首相が革命記念日の演説(15日)で、社会主義官僚が主権国家は支配するブリュッセル(EU本部)を占領せよと国民に訴え、EUへの反乱を宣言した。
バイデンであれ、NATOからの脱退を言及しはじめたトランプであれ、韓国としては米国との同盟が尊重されるかどうか自問せざるを得ない。プーチン大統領の新しい任期の最初の外国訪問は平壌だろうか。韓国は、独自の抑止力確保を悩むなどの余裕がなくなった。抑止力確保を急がねばならない。

 

 


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