北韓のインターネットユーザーは1000人に満たない、というレポートが公開された。シンガポールのデータ分析機関「データリポータル(Data Reportal)」は年初、北韓人口の99・9%がインターネットに接続できない状態であると明らかにした。調査対象国の中では最下位だ。
北韓のインターネットユーザーはごく少数で、エリート層と海外居住者に限られる、との見方だ。2620万人に達する北韓住民のほとんどがインターネットに接続できない状態にあることを意味する。
住民らが使用できるのは「光明網」と呼ばれる内部通信網(イントラネット)接続のみ。つまり、北韓政権が提供する情報だけを見ることができるのだ。これは、金正恩政権が外部情報を徹底的に遮断していることを示している。
昨年、統計サイト「インターネットワールドスタッツ」は、2022年7月末における北韓のインターネットユーザーを2万人と推定した。やはり国際電気通信連合(ITU)が世界238カ国で調査を行った国の中で最下位となった。同調査で、韓国は人口の97・0%がインターネットユーザーであるとしてトップに位置づけた。米国は90・3%だった。
昨年、韓国の北韓人権団体「成功裏に統一を成そうとする人々」が発表した報告書によると、北韓で専門的な情報を得るためにインターネットを使用する場合、複雑な承認手続きを経なければならない。たとえ承認を受けた場合であっても、(1)2人1組で、1人がインターネットで何を検索するか監視し(2)インターネットを5分利用するたびに指紋認識を通して身元を確認しなければならないという。
住民を外部の情報から切り離して体制を維持しようとする意図があるのだ。米国の研究機関「民主主義守護財団(FDD)」のデビッド・マルズウェル上級研究員は、自由アジア放送のインタビューで「金正恩政権は北韓住民が外部とつながることを警戒している。インターネットはもちろん、今後も外部情報の流れを遮断していくだろう」と予想した。
(ソウル=李民晧)
北韓の学生が平壌の万景台学生少年宮殿でコンピューター作業をしている