4・10国会議員総選挙(以下、総選挙)で最も激戦と目される選挙区は仁川の桂陽乙だ。「共に民主党」李在明代表と国土交通部長官を務めた尹錫悦大統領の側近、元喜龍氏の一騎打ちとなるからだ。もともと民主党の勢いが強い同選挙区での勝敗の行方に関心が集まっている。 (ソウル=李民晧)
世論調査会社・韓国ギャラップが7日に発表した仁川・桂陽乙で行った総選挙に関するアンケート「明日が投票日なら誰に投票するか」という問いに対し、45%が李代表、41%が元氏と答えた。両候補の差は誤差の範囲(95%の信頼レベル、サンプル誤差+-4・4%)内だった。調査は桂陽乙に住む18歳以上の男女504人を対象に行った。
民主党の勢いが強い地域であるにもかかわらず、政党支持率は民主党が39%、国民の力が37%で僅差だった。年齢別では、20代~40代は李在明代表を、60代以上は元氏を、50代は同率となった。
民主党の「公薦認管理委員会」は2日、李在明代表をこの地域の候補として単独で推薦した。これは中央選挙管理委員会が選挙区を画定した2日後で、党内からは「桂陽乙は民主党が確実に勝てる地盤だと判断したのではないか」との指摘も上がっている。
世論調査では支持が拮抗しているように見えるが、現実的には李在明氏が当選する可能性が高いとの見方が大半だ。民主党の勢いが特に強い地域だからだ。2004年の第17回総選挙で桂陽区が甲と乙に分けられ、現在までに計7回の総選挙(再補選を含む)で10年の再補選を除けば、民主党が一度も勝利を逃したことがない地域だ。仁川全体で見ても民主党が強いが、中でも桂陽乙は民主党の「鉄壁の砦」と言っても過言ではない。
一方で、元喜龍候補への期待が高まっているのも事実だ。仁川市民は目下、ソウルとの鉄道網接続について高い関心を示しているが、元候補は以前、その主管部署である国土交通部で長官を務めている。さらには大統領の側近でもあることから、地域の課題解消をアピールすれば、票の行方が揺らぐ可能性もある。
4・10総選挙は「尹錫悦か李在明か」の様相を呈している。「より好ましくないのはどちらか」という消極的な視点で見た場合、尹大統領のほうに勝算があるようだ。前回の大統領選挙でも、そうした消去法が勝敗を分けた、との見方もある。李在明代表の対抗馬として元喜龍氏の名が広まれば、逆転には至らないにせよ、李在明代表と民主党にとって打撃となることは明らかだろう。
仁川桂陽乙から国会議員に立候補した民主党の李在明代表(左)と国民の力の元喜龍・前国土部長官