ウクライナ戦況がNATOの敗戦に傾き、国際情勢の不安が一層増幅している。各国が、国際秩序再編への備えを急いでいる中、韓国は投票日まで1カ月を切った総選挙にばかり没頭している。立候補者登録の締切り(22日)まで10日を残し、各党の公認もほぼ終わりつつある。公認には政党のアイデンティティーが現れる。いかなる美辞麗句を並べても、政党が比例代表の当選圏に誰を配置するのか、当選可能性の高い選挙区にどの人物を公認するのかを見れば実体が分かる。与野党の公認結果は正常な人には混乱と失望を与える。尹大統領は全国を回ってポピュリズム公約を乱発しているが、野党は尹政権審判を掲げ、尹政権の標的となった医者たちは政権との対決を宣言している。
西欧は、ゼレンスキー軍の敗退が確実になったのに敗北を認めず、紛争を延長、拡散に拘っている。
特に、フランスがロシアに敵意を表わしている。マイダン革命の産婆だったビクトリア・ヌーランドが5日、国務部副長官代行職を辞任した。ウクライナ戦争の失敗を象徴する。後任は、ジョン・ロドニー・バス。アフガン、ジョージア、トルコで米外交が挫折したとき大使だった人物だ。トランプ前大統領が11月の米大統領選挙の共和党候補に確定、各国はトランプがNATOから脱退するかに関心を集中している。
今回の総選挙を通じ、尹錫悦・韓東勳の与党のアイデンティティーは中道左派・社会民主党の路線に近いことが確認された。尹大統領は総選挙に集中、今年1月4日から湖南と済州の他の全国を回りながら「民生討論会」を19回開催した。「政策の供給者ではなく、需要者の立場で課題を発掘し、各省庁間の壁を崩し国民が早く体感できるように速度を高めるようにした」と自賛するが、野党はこの民生討論会を「総選挙用、「官権選挙」と糾弾、尹錫悦審判を総選挙スローガンとしている。
尹大統領と与党は、野党の勢いを制圧できずにいる。特に2審でも有罪を宣告された曺國が「曺国革新党」(3月3日)を作り、党内のすべての抵抗・競争勢力を除去した李在明と組んで突風を起こし与党を激しく攻撃している。政党が裁判中の者、前科者、従北勢力などが国会に入る道を開いている。
世論調査では、少数の政党が、ほとんどの議席を分けるとの結果が出るが、多数の群小政党の出現は、寡占状態の政党権力への不信と不満が爆発中であることを示している。
国会立法調査処が8日発刊した「第22代国会議員選挙の投票用紙構成の争点?」という資料によれば、4月の総選挙は、3月4日基準で、中央選挙管理委員会に登録政党が53、届け出と受理された創党準備委員会が14党に達し、比例代表選挙に候補を推薦する政党が4年前の選挙の35政党より多く、比例代表選挙投票用紙の長さが史上最長になるとの予測だ。4年前の総選挙では比例代表投票紙に37の政党が掲載された。
与党から不当に党内予備選の参加すら拒否された閔庚旭前議員は「不正選挙剔抉党」創党を宣言(11日)。ただ、この党名の使用を選管委が許すかは未知数だ。
専攻医(インターン、レジデント)の病院離脱が長期化すると、厳罰方針を強調してきた政府は、李周浩副首相兼教育部長官は休学届を出し授業を拒否中の医大生の授業復帰のため大韓医科大学・医学専門大学院学生協会(医大協)に対話を提案、「13日午後6時までに答えを出せ」と言った。
だが、医大教授たちも弟子たちを保護するため大学別に集団行動に乗り出した。ソウル大医大教授協議会の非常対策委員会は11日午後、首都圏の3つの病院所属教授が参加した緊急総会を開き、18日に教授全員が辞職書を提出することにしたと発表した。非常対策委員長は「内部的にアンケート調査を行ったが、一定時点で行動することに同意するかの質問に87%が同意するとの結果が出た」「診療の縮小が避けられない状況」と言った。
辞職書は個別に提出、個別に外来診療を減らしながら緊急室や集中治療室などは守ることにした。非対委関係者は「辞職書が修理されない場合、1カ月経って契約解約の効力が発生することを勘案した」と説明。
他の主要医大教授協議会も、辞職書提出など集団行動を議論する。釜山大医大教授協議会はこの日、団体記者会見を開き、「専攻医に対する司法処理や医大生に対して留年措置が下される場合、医大教授らも辞職する」と発表した。すでに辞職意見を決めた蔚山大医大教授協も、早ければ週内に辞職書提出日程を公知する予定だ。