昨年、韓国経済は大きく停滞した。原因は輸出の不振。輸出産業を柱に経済成長を果たしてきた韓国にとって、輸出額の減少や貿易収支の悪化は致命的な問題だ。近年、輸出を牽引してきた半導体の不振が大きな影響を与えてきたが、昨年半ばから回復傾向を示し急速に改善してきている。特に半導体需要の回復は顕著で、さまざまな輸出指標で肯定的な数字が発表されている。
一昨年末から不振が続いていた輸出が急速に回復してきている。
韓国銀行が2月28日に発表した「1月の貿易指数・交易条件資料」によると、先月の輸出金額指数は4カ月連続上昇の前年同月比15・7%(前年同月比)増の128・20だった。これは2022年5月に記録した20・1%から20カ月ぶりとなる上昇幅だ。
輸出物量指数も大きく改善した。17・1%増の126・08で、21年5月の22・8%から2年8カ月ぶりの水準。輸出金額・物量指標は韓国が輸出した物の販売価格、販売量を図る基準値で、輸出の量・質とも1年前より大幅に改善されたことになる。
好況を牽引したのは、輸出1位品目の半導体。半導体が含まれる「コンピュータ・電子と光学機器」部門の輸出物量指数は1年で26・9%増、輸出金額指数も30・6%増加した。
1日に発表された2月の韓国貿易統計のデータを見ても輸出改善の傾向が顕著だ。輸出が5カ月連続で増加し、伸び率は市場予想を上回った。
自動車輸出はピークを下回ったが、半導体需要が大きく伸びた。全体輸出額は前年比4・8%増の524億1000万ドル。半導体が66・7%増など需要が高まっていることから、今年は輸出回復が経済成長全体を押し上げるとの見方が強まった。
半導体業況は回復傾向がはっきりしており、今後も底堅いと見られている。
サムスン電子とSKハイニックスが半導体不況から一時、半導体メモリーを減産。それに伴い需給が急速に改善し単価が反騰した。世界的なIT景気回復なども相まって3カ月にわたり輸出増加傾向を見せている。1月の輸出も53%増と17年12月以降で最も高い増加傾向を示した。
英調査会社オムディアは2月27日、半導体メモリー・DRAMの昨年10~12月期の世界市場で、サムスン電子がシェア45・7%で1位となり、16年7~9月期(48・2%)以来の高水準を記録したと発表した。
同社のシェアは前期比38・7%(7・0ポイント増)で、2位のSKハイニックス(31・7%)との差も14・0ポイントに拡大した。3位は米マイクロン・テクノロジー(19・1%)だった。
サムスン電子の昨年10~12月期のDRAM市場での売上高は前期比21%、前年同期比では39%増加。6四半期ぶりに上昇に転じている。同社のDRAMの平均価格はモバイルDRAM価格の上昇により前期比12%上昇し、出荷量は同16%増加した。
市場調査会社DRAMエクスチェンジによると、DRAM固定取引価格(8ギガ)は昨年8~9月に1・3ドルまで落ち込んだが、今年1月には1・8ドルまで値を戻した。こういった市場の動きからDRAMの売り上げは、前年より大きく増加することが確実と予想されている。
新規格の「DDR5」や高速・大容量処理が可能な「広帯域メモリー(HBM)」など高付加価値製品の売り上げが大幅に増えていることも、半導体市場が今後さらに拡大する要因と見られる。サムスン電子は今年、HBMの生産強化に向けてシリコン貫通電極(TSV)の生産能力を業界最高レベルに引き上げる計画だ。