ソウルの柳寛順記念館で1日、独立運動記念日「三・一節」の記念式典が開かれた。尹錫悦大統領は演説で、「韓日両国はつらい過去を乗り越え、『新しい世界』に向かってともに進んでいる」と述べた。
尹大統領は日本統治に抵抗して1919年3月1日に発表された独立宣言書について「日本に対し、われわれの独立が両国ともに豊かに暮らす道であり、理解と共感に基づき新しい世界を開こうと求めた」と言い表した。また「北韓の核とミサイルの脅威に対する両国の安全保障協力がより一層強固になった」としたうえで、「来年の韓日国交樹立60周年をきっかけに、より生産的かつ建設的な両国関係に一段階跳躍させていくことを期待する」と述べた。
韓日関係について「自由、人権、法治の価値を共有し、共同の利益を追求し、世界の平和と繁栄のために協力するパートナーになった」と強調した。
日本の森屋宏官房副長官は同日の定例記者会見で、20日に韓国政府主催の民主主義サミットに合わせて首脳会談が開かれる見通しとの報道に関する質問について、「岸田文雄首相が訪韓する計画はない」と明らかにした。
日本の各メディアは尹大統領が演説で、日本に対する批判を自制し、韓日関係改善への期待を示したことに注目した。
共同通信は「尹大統領は『日韓両国は平和と繁栄のため協力するパートナー』と述べた」としたうえで「強制徴用や日本軍慰安婦など具体的な歴史問題への言及は避けた」と報じた。朝日新聞も昨年に引き続き今回も強制徴用問題に言及しなかったことに触れた。読売新聞は両国関係重視の姿勢に着目した。
NHKは「日韓国交正常化から60年となる来年を契機に、両国関係をさらに発展させたい考えを強調した」と伝えた。
日本経済新聞は「2023年に演説で日本との歴史問題に言及せず日本との関係強化を表明し、その後の関係改善に向けた流れにつなげた」としたうえで、「今回も元徴用工問題や慰安婦問題には触れなかった」と説明した
産経新聞は「尹大統領は強制徴用など日韓間の具体的な歴史問題に言及しなかった」としたうえで、北韓関連の発言を強調。尹大統領が「自由と人権という普遍的価値を拡張することこそが統一だ」と述べたことについて「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が韓国を『不変の主敵』とし平和統一を放棄する政策転換を打ち出したことに対抗する姿勢を鮮明にした」と解説した。