韓国も注目の民団新体制

3機関長に融和を期待
日付: 2024年03月05日 11時57分

 民団中央の3機関長が改選された。民団が2派に分裂して3年以上紛糾したため在日同胞だけでなく、韓国メディアからも注目されている。とくに朝鮮学校出身の金利中団長に対しては、一部で根強い抵抗感と不安を訴える団員がいるとともに、逆に強みと捉えて期待する声もあり、今後の動向が注目されている。
新3機関長就任を報じたのは、韓国の全国紙、中央日報と通信社の聯合通信。両メディアともに、金氏が朝鮮学校出身者で初の中央団長となったことを報じている。
団員の間には、朝総連系の朝鮮学校に対する根強いアレルギーがある。とりわけ昨年末から北韓が韓国に対し敵意を露わにしていることから、警戒心が一層強まっている。
金団長らに反対していた直選中央委員の一人は「期待することはひとつもない」とショックを隠せないが、「これまでの分裂状態を収め、仲良くやってもらいたい」と言葉少なに希望を述べた。
日本の小学校に相当する朝鮮初級学校を卒業した在日3世の男性は「初級・中級・高級学校を卒業した人は、民団の地方組織には大勢いて活躍している」と現状を語ったうえで、「民団で交流していれば、人となりは分かる。仮に民団を混乱させるために送り込まれた人がいるのなら、不審な言動はすぐ目につくだろう」と見解を示した。
金団長に向けられた懸念についても「杞憂にすぎないのではないか」とし、「今後は一部団員からの疑念を払拭するよう、民団の融和に努めてもらいたい」と願っている。
公安関係者の一人は、朝鮮学校出身の経歴について「民団には大勢いるので気にしなくてもいい。それだけを捉えて心配する必要はない」と問題視していない。
一方で、二つに分裂して激しく対立した政権交代後の人事に注目している。
「前団長時代に左遷された人が復権することもあるだろう。逆に左遷の憂き目をみる幹部もいるだろう。ここで再び混乱してほしくない。民団が安定することを最優先で考えてもらいたい」と要望している。
民団大阪生野南支部の金勝博支団長は「失われた3年間が正常化されることを期待したい」と新3機関長誕生を歓迎している。金団長の朝鮮学校出身の経歴についても「今後、朝鮮学校出身の役員が増えていくのではないか。朝鮮学校出身者の方が民族心が強く、祖国の言葉に堪能だからだ」と強みと捉えて期待している。
同胞社会だけでなく韓国でも注目されている新3機関長には、分断された団員の信頼を得るため、まず民団内の融和を第一に腕を振るってもらいたい。そうすることで新3機関長への支持がより拡大し、組織も安定して落ち着きを取り戻すだろう。

   当選後の就任祝賀会で登壇した新3機関長ら


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