民団中央の紛糾状態は、2021年の定期中央大会を巡る混乱から3年以上に及ぶ。
20年12月の中央執行委員会で、第75回定期中央委員会と第55回定期中央大会の開催が決まった。コロナ禍の事情を考慮し、書面決議、郵便投票、オンラインによる特例措置となった。
21年1月27~29日まで立候補登録が受け付けられ、団長候補に現職の呂健二氏のほか任泰洙氏、議長候補に現職の朴安淳氏、監察委員長候補に金春植氏の4氏がそれぞれ立候補した。
2月初旬には、任氏の逮捕歴に関する記事(04年11月22日付・読売新聞)が有権者の間に出回った。過去に札幌市で恐喝未遂の疑いで、右翼団体の幹部2人とともに逮捕されていた。
これに対し、任氏本人と同候補選挙事務所、民団北海道はそれぞれ、「恐喝未遂事件とは全く関係ないことが判明し、事件になりませんでした」という文書を大会構成員に配布した。
その後、恐喝未遂事件により、05年2月に懲役2年6カ月・執行猶予3年が確定していることが明らかになった。このため中央選挙管理委員会は、選挙管理規定7条6項「立候補者の選挙運動に明確な違反行為があるとき、調査、審議を行い登録を取り消すことができる」によって、任氏の立候補登録を取り消した。
定期中央大会の2度の続会を経て、21年4月6日に各3機関長候補が1人ずつになったため、選管規定13条3項「単一候補の場合は無投票で選出される」に依拠し、団長に呂健二氏、議長に朴安淳氏、監察委員長に金春植氏が無投票で選出され、大会は終了した。
翌7日、定期中央大会での決定に不服を持つ勢力が「民団中央正常化委員会」を結成。臨時中央大会の開催を要求したが、署名が過半数に満たなかったため、不成立となった。監察委員会が「民団の名誉と組織防衛のため、正常化委の解散を勧告する」との表明を発したのを機に、同会は9月16日に解散した。
22年3月29日に大阪市で開かれた第76回定期中央委員会では、前年12月に呉公太氏らが設立した「臨時大会を求める会」による妨害工作により混乱を極め、ヤジや怒号が飛び交う中、閉会した。この混乱は「臨時大会を求める会」の関係者が事前に計画したことが明らかになっている。
23年4月13日には東京の韓国中央会館で、全国地方団長・中央傘下団体長会議が開かれた。会議では不規則発言が飛び出すなど荒れ、混乱の中、閉会した。
12月2日には都内で、東京の李壽源団長と大阪の李元徹団長が招集発起人となり、規約に則らない独自の「臨時中央大会」と称する集会を開き、独自に暫定3機関長を選出した。これに対し、民団中央側は同大会直前に一部地方本部を直轄化し、中央委員、代議員を解任する措置を取ったうえで、「絶対に参加することがないように」と警告した。
二つに分裂した民団に、駐日韓国大使館が仲裁に乗り出す。暮れも押し詰まった12月26日に、民団中央と暫定3機関長側の双方がとったすべての決定を白紙に戻したうえで、24年2月28日に第56回定期中央大会を開催することで合意した。
24年1月11日には、駐日韓国大使館立ち合いのもと、民団中央と暫定3機関長が、各3人ずつの選挙管理委員を選任した。
1月29、30日の2日間、民団中央選管は3機関長の立候補届け出を受け付けた。民団中央側から、団長に現中央副団長の金泰勲、議長に現中央副団長の呉英義、監察委員長に現中央副団長の李根茁の3氏が立候補。暫定3機関長側は、団長に現神奈川常任顧問の金利中、議長に元北海道常任顧問の任泰洙、監察委員長に現職の金春植氏の3氏が出馬した。