民団和合に英知発揮を

大阪、東京押さえ趨勢決まる
日付: 2024年02月29日 12時35分

 民団中央の次期3機関長が決まった。現3機関長体制に異を唱える金利中、任泰洙、金春植の3氏が選出された。現3機関長を支持する金泰勲、呉英義、李根茁の3氏はダブルスコアの差をつけられ惨敗した。圧倒的な支持を受けた事実を背景に次期3機関長は、堂々と民団の再生と統合に邁進してもらいたい。
今回の3機関長選を一言で言えば「勝つべくして勝ち、負けるべくして負けた」ということだろう。
民団が2つに分裂したが、暫定3機関側から出馬した金利中氏側は今回の定期中央大会を見据え、各地方本部・支部への訪問や電話など、「どぶ板選挙」ともいえるほどのきめ細かい動きを展開した。
一方、民団中央側から出馬した金泰勲氏側は今後民団のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の核となる「KJアプリ」の話題に頼り過ぎた。
選管が決めた規制があったとはいえ、各地方本部・支部への訪問や電話による働きかけも十分ではなかった。
当初、民団大阪は中央寄りだったが、民団中央は2022年3月に大阪市で定期中央委員会を開催して以降、対話する機会を持とうとしなかった。呂健二団長ら執行部が組織を挙げて支持を訴えるべきだったが、慢心していたのかもしれない。その間に暫定3機関側に切り崩された。
金泰勲氏側は、「大義」を掲げて戦うしかなかった。紛糾の3年間について、相手候補の経歴詐称や朝鮮学校出身の学歴を疑問視して不安を訴えるという、ある意味「正攻法」での戦術をとったが、団員の心を強くとらえるものではなかった。
もともと神奈川を地盤にする金利中氏に東京を押さえられるのは仕方ないとしても、最大の票田である大阪は死守しなければいけなかった。大阪、東京という2大票田を押さえられては、勝負の趨勢はほぼ見えてくる。
選挙戦において終始、金利中氏側が先手を取り続けていた。鮮やかな手腕だが、3年にわたる激しい抗争で、民団を真っ二つに分裂させてしまった責任は重い。
厳しい選挙を勝ち抜いた胆力と英知を、今度は広い心を持って、対立した団員も含めた民団和合のために発揮してもらいたい。


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