尹錫悦政権が、選挙が迫っている時期に突然、「医療改革」を宣言、医療体系が混乱に陥った。誰が見ても社会主義の理念が根底にある、ポピュリズムに満ちた選挙対策だが、尹政権は反発する医療界を集団利己主義と批判し、今後5年間、医大入学定員を2000人ずつ増員する計画を改めて強調した。
政府の拙速政策に反発する専攻医(インターン、レジデント)の診療拒否は拡大している。
保健福祉部によれば、先週末の基準で主要100カ所の修練病院で辞職書を提出した専攻医は1万34人(全体80・5%)水準、辞職書を提出後、勤務地を離脱した専攻医は9006人(全体の72・3%)だ。
保健福祉部は、業務開始命令に続き26日、全国の専攻医たちに「診療命令維持文」を発送した。
「正当な事由なく修練病院と修練契約を更新しないか、合格したにもかかわらず契約を放棄し診療を中断する行為を禁止する」と適示、29日までに復帰する場合は、責任を問わないとする事実上の「最後通告」の公文だ。未復帰の専攻医は3月から法的措置を講じると明記している。
ところが「修練病院と修練契約を更新しないか、修練病院のレジデント過程に合格したにもかかわらず契約を放棄する方法で診療を中断する行為などを禁止」という内容が「違憲論」を呼んだ。保健福祉部は「法的検討を経て、現行の医療法体系で十分に命令可能」「基本権は公益や社会秩序の維持のため一定範囲内で制限ができる」と話した。
だが、専攻医たちは「合格放棄禁止条項というのは生まれて初めて」「信じていた尹錫悦政府からここまで裏切られるとは思わなかった」などと激しく反発している。法曹では「職業選択の自由を侵害したもの」であり、憲法が「国籍離脱の自由」までも保障している点から、本質的に違憲要素があると指摘する。
専攻医たちに現場復帰意思が見られないうえ、専任医たちも再契約を放棄している。ソウル大医大教授非常対策委員会は、兼職(医大生授業と病院派遣診療)を解除して病院診療を放棄すると決議した。大学講義だけをやるとのことだ。
各界の専門家、知識人たちは、政府がいわゆる「医療改革」を社会と国政全般に及ぼす影響を考慮した痕跡が見られず、目の前の断片的な問題として扱っていることに失望と怒りを表している。今回の事態を通じ、尹政権の国家政策に対する姿勢に根本問題があると批判している。
政府は23日から救急医療機関(409カ所)、公共医療機関(45カ所)の診療時間を延長、軍病院(12カ所)の救急室も一般に開放した。