1970年代初頭まで、防衛産業において韓国は後進国だった。ライフル銃1丁すら自国で製造することができない上、米国から輸入した弾薬は1カ月分にも満たなかった。その時に生まれた政策が「自主国防」だ。片や北韓は当時、ライフル銃はもちろんのこと、大砲や戦車までも独自に製造できる能力を備えていた。
韓国は自主国防に向けて努力を重ね、超高速で発展を遂げていく。武器の国産化は当初、米国製ライフル「M16」を真似ることから始まった。70年代半ばには海上護衛艦を自国の技術のみで建造することに成功。その後は戦車、装甲車、自走砲などを次々と完成させていった。今では潜水艦、イージス駆逐艦、戦闘機、ミサイルなど、核を除くほぼすべての兵器を製造できる水準にまで到達した。
国防当局によると、昨年における韓国防衛産業の輸出額は約140億ドル(約18兆6000億ウォン)で、一昨年は173億ドルだった。
兵器の輸出相手国は、ポーランドなど4カ国に限られていた2022年から一転、23年にはアラブ首長国連邦(UAE)、フィンランド、ノルウェーなど計12カ国に増えた。輸出用兵器もかつての6種類から、現在は12種類へと多様化している。
快進撃は今年に入ってからも続いている。サウジアラビアと32億ドル(約4兆2500億ウォン)で「天弓―Ⅱミサイル」の輸出契約を締結した。22年にUAEと交わした35億ドル(約4兆6500億ウォン)の契約に続くもので、中東市場への輸出の足がかりとなった。
スウェーデン・ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の資料によると、18年~22年における世界の兵器輸出市場で、韓国はシェア率2・4%を占め9位に浮上した。
その他の兵器輸出国としては米国(40%)、ロシア(16%)、フランス(11%)、中国(5・2%)などが上位を席巻しているなか、韓国が急速に存在感を示し始めた状況だ。
政府は27年までに「世界の防衛産業輸出国トップ4入り」を目標に掲げ、受注拡大に努める方針だ。
(ソウル=李民晧)
中東地域の防衛展示会「WDS 2024」に参加した韓国企業「LIGネクスワン(NEX1)」のブース