東京測地系→世界測地系 変わる韓中経済関係

分業体制が崩壊し競合相手国へ
日付: 2024年02月20日 12時23分

 昨年、中国本土への輸入に占める韓国の割合が6%台に低下した。中韓国交正常化翌年の1993年の5・2%以来、30年間で最低び数値となった。中国本土の国・地域別輸入先でも、韓国は3位に後退している。
これは中国本土市場で韓国製品が競争力を失い、中国本土が韓国製品を求めていないことを示しており、韓国の対中輸出不振の現状を物語っているものであることは間違いない。
昨年の対中貿易赤字は過去最大の180億ドルを超えた。
韓国貿易協会によると昨年、中国本土への韓国からの輸出額は1625億ドルと、前年に比べて18・8%減少し、中国本土の輸入全体に占める割合も6・3%に低下したと報告されている。中国本土の国・地域別輸入先で韓国はこれまで2位であったが、昨年は台湾(7・8%)、米国(6・5%)に次ぐ3位に後退した。
韓国が中間財を輸出し、それを中国本土が加工して完成品を販売する国際分業体制が崩壊。石油化学、鉄鋼、石油製品など韓国の主力輸出品目に対する需要が減少したことで、「メードインコリア」は中国本土市場で存在感が薄れたとも見られている。
中国本土がかなりの品目で競争力を付け、自給率を高める中、昨年は韓国輸出を支えてきた半導体景気まで低迷し、中国本土の輸入に占める国別割合は7%を割り込んだ。
中韓貿易の構造が激しい競合関係となり、新成長産業に対する集中投資と同時に、中国本土の内需市場攻略のための戦略づくりを急がないと、さらにシェアが低下するとの危機感も出てきている。中国本土が2010年代半ばから「中国製造2025」を掲げ、製造業育成に取り組んだ結果、先端半導体と一部ディスプレー製品を除けば競争力を保つ韓国製品はほとんどなくなったとも分析されている。これを筆者は、「中国本土の、いざとなったら鎖国できる国作りの一環策」であると見ている。外国には頼らない産業構造に着実に転換してきており、代表的な中間財である石油化学製品は中間原料やベースオイルのような汎用製品の自給率が90%以上に高まり、13年に235億ドルに達した対中輸出が昨年は170億ドルにまで減少した。
新型コロナウイルス感染拡大前まで中国本土の自給率は60%前後であったが、ここ数年間で生産設備の増強が続き、韓国製品を必要としなくなったとも中国本土側では見ている。 
BtoC(企業と一般消費者の取引)製品も、かつて中国本土市場で大きな人気を集めた化粧品の不振が続いているほか、昨年の輸出額が709億ドルに達し、過去最大を記録した韓国車も中国本土市場での販売額は3億ドルに留まっている。二次電池は韓国が中国本土から83億ドルを輸入し、韓国からの輸出額(5億ドル)の16倍に達している。
このように韓国の競争力の低下が続く中、昨年はコロナ下で拡大した世界的なIT需要まで冷え込み、対中貿易を支えてきた半導体の輸出が前年対比30・6%減の361億ドルに留まったことが追い打ちをかけたと見られている。
半導体輸出の急減を受け、中国本土への韓国からの輸出は22年の2002億ドルから、昨年は1625億ドルへと18・8%も減少した。
中国本土企業の需要が集中するメモリー半導体などの競争力を維持し、中国本土の内需市場でも競争力を持つことが出来る新産業を育成することは韓国産業界にとっては喫緊の課題だ。依然として韓国の輸出の20%近くを占める最大輸出相手国であり、経済成長率が5%に達する中国本土市場を直ちに放棄できない中、半導体景気の回復が見込まれることに希望があるが、米中の覇権争いの中でまず韓国が優位に立っている半導体で格差を維持する戦略が求められ、脱中国戦略を持ち続けつつ、中国本土市場を無視せず、韓国産業界が発展しなくてはならないとの声が強い。
(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科教授 真田幸光)


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