狙われる韓国の半導体技術

流出先の最多は中国
日付: 2024年02月14日 10時23分

 半導体など韓国の産業技術が海外に流出するケースが相次いでいる。過去5年間の摘発件数だけで100件に達した。流出先の国別では中国が最多だ。近年は中国人が韓国に企業を設立し、技術者を雇用するという方法で技術の窃取を試みるなど、手口も巧妙化している。
(ソウル=李民晧)

 

 産業通商資源部は6日、国家情報院の資料を公開した。それによると、韓国産業技術の海外流出は2019年に14件、20年に17件、21年に22件、22年に20件、23年に23件で、計96件発生していた。
最も多く摘発されたのは半導体の技術流出で38件(39・6%)、次いでディスプレイ(16件、16・7%)、自動車(9件、9・4%)と続いた。流出した技術のうち、国の基幹技術が33件で全体の34%を占めた。昨年ベースでは全23件の摘発件数のうち半分以上に及ぶ15件が半導体関連での摘発だった。ディスプレイ、自動車、バイオテクノロジー、電気・電子分野はそれぞれ3件、3件、1件、1件となっている。

罰則なき安保関連犯罪

国家競争力の根幹を成す基幹技術は、国の存続、安全保障問題に直結する。しかし、不合理なことに韓国で安保関連犯罪を犯しても処罰されない。
この状況に対し東亜日報は2月8日付の紙面で『0年(韓国)VS最低10年(米国)』との表現を用いて技術流出犯罪に対する量刑の軽重について切り込んだ。
『サムスン電子の子会社、セメス社が保有する<超臨界半導体洗浄装置>の設計図を中国に持ち出した元研究員A氏に対し、裁判所は先月、2審で懲役10年を言い渡した。しかし、技術の流出による被害額に伴う刑期は0年だった。検察は被害総額を約2200億ウォンと推定したが、裁判所がこれを認めることはなかった。被害総額を明確に試算することは困難、という理由だ』
同紙はまた、韓国で懲役を免れたA氏がもし米国で裁判を受けた場合、最低でも10年から33年の懲役刑に処されると報じた。
以上のように韓国での量刑が軽いのは、韓国には技術流出犯罪に対する被害額の算定基準が存在せず、技術流出裁判を専門に扱う裁判所もないからだ。
大検察庁によると、技術流出の罪で15年から23年1月までに1審で有罪を言い渡された496件を分析した結果、裁判所が被害額を算定し適切な判決を下した件数はゼロだった。
被害額が記載されている23件(4・6%)も、「機器の盗難」といった可視化可能な被害に限られており、技術開発のコストや市場価値、損失規模に関する試算はなされなかった。量刑の軽さゆえ、「大金を得るためには犯罪も辞さない」というケースが後を絶たないという構造的な問題があるのだ。

巧妙化する中国の手口

一方、技術流出の手口としては、外国企業が国内に会社を設立し、専門のエンジニアを雇用して技術を取得させたり、外国人が買収した国内企業の技術を海外に流出させるというケースが多かった。
中国最大のDRAMメーカー「チャンシンメモリテクノロジー(CXMT)」がAI半導体の必需品であるHBMの技術開発に乗り出し、韓国の技術と人材の採用に注力していることは暗黙の了解だ。
中国企業は国内大学の半導体学科や関連研究所に巨額の研究費を投じると提案し、水面下で技術窃取の動きを見せている。
こうした韓国の無防備な対応は、米国やドイツ、英国などと比較されている。これらの国では産業技術の流出を阻止するため、自国企業と外国企業間における合併・買収や、外国系投資会社の持分の取引までも禁じている。
英国では昨年12月に国家安全保障法が制定された。情報を違法に取得し外国に渡そうとした場合、終身刑に加え、上限を設けない罰金刑に処すことを定めた。また、技術情報を海外に流出させた場合、最大で懲役14年、または上限を設けない罰金が科されることになった。
遅まきながら、韓国でも「産業技術の流出防止及び保護に関する法律(産業技術保護法)」の改正を推進している。改正案では、国の基幹技術に対する流出犯罪の罰金を、現在の15億ウォン以下から最大で65億ウォン以下へと引き上げ、懲罰的損害賠償の限度額を3倍から5倍へ拡大するなどの内容を盛り込んでいる。
これらの改正案は昨年9月、法制処の審査などを経て国会に提出された。産業部は第21代国会の会期中に本法案を可決させ、今年下半期(7~12月)にも施行令改正などに着手する方針だ。
しかし、法案をめぐっては利害関係者である企業と政府間において足並みがそろわず、国会内でも与党と野党が政争を展開していることから、産業技術保護法の審議が先送りされている状態だ。
与野党の対立により、国家の基幹技術の流出を防ぐ法案の成立が遅れる事態は許されない。

京畿道華城にあるサムスン電子の工場前景


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