韓国の債務増大に警鐘

家計・企業・政府とも悪化
日付: 2024年02月08日 05時04分

 韓国の家計負債はGDP比率で100%を超え、IMF(国際通貨基金)などの国際機関から警告を発せられている状況だ。韓国政府が1月4日に発表した「2024年経済政策方針」でも「潜在リスクの管理」のなかで家計債務の体系的管理を課題として挙げるなど、韓国経済が抱える時限爆弾ともいえる深刻な問題となっている。

 

 韓国が問題とする負債の大きさは家計にとどまらない。政府負債にも警鐘が鳴っている。
韓国企画財政部は1月31日、「2023年国税収入実績(速報値)」を発表した。それによると、昨年の国税収入は344兆1000億ウォンで、企画財政部が22年に国会に提出して確定した歳入予算400兆5000億ウォンより56兆4000億ウォン少ないことが明らかになった。コロナ禍で経済活動が大きく停滞した13年を除けば、最大規模の減収となった。景気鈍化により企業の営業利益が減少し、法人税が前年比23兆2000億ウォン減の80兆4000億ウォンとなったのが大きかった。
文在寅政権以降、政府の財務状況は悪化してきたが昨年11月末現在の中央政府債務は1109兆5000億ウォンとなった。政府は債務の増加スピードは鈍化の傾向だと説明するが、減少へと向かう目処は立っていない。政府債務は25年には1200兆ウォンを超え、26年には1300兆ウォンを上回ると予測されている。
企業債務問題も深刻だ。金融情報会社エフエヌガイドによると、昨年7~9月期基準で1674社の上場企業(KOSPI+KOSDAQ)のうち、利子補償倍率が1未満の企業は710社(営業赤字含む)だった。利子補償倍率は企業の営業利益を金融費用(利子費用)で割った数値で、企業の債務償還能力を表す指標の一つ。利子補償倍率が1を下回れば、営業活動で稼いだ金で利子も返せないということだ。
つまり上場企業全体の42・4%が融資を受けた資金の利子さえ返済できない状況にあることを示す。
時価総額2兆ウォンを超える企業のうちSKハイニックスをはじめ、LGディスプレイなどの韓国を代表するグループ企業の利子補償倍率が1を下回った。
問題は3年連続で利子補償倍率が1を下回る脆弱企業だ。時価総額2兆ウォン超企業の中では韓進KAL、現代尾浦造船、HD現代重工業などが含まれる。
国際決済銀行のデータによると、第2四半期企業負債は2703兆3842億ウォンと算出されている。
今年に入って建設会社、泰栄建設の経営不振などが顕在化した。泰栄の第3四半期の財務報告書には、借入総額が2兆2000億ウォンと記載されており、KDB、国民銀行、新韓金融グループ、ウリィ金融グループ、ハナ金融グループも債権者リストに入っている。
泰栄は韓国建設業界で16位だが、金利上昇と景気低迷のなか、不動産・建設関連会社の経営難は、他企業でも生じる可能性があると懸念が高まっている。
韓国銀行が1月28日に公開した「2023年下半期金融安定報告書」によると、昨年第3四半期末の自営業者に対する貸付の残高は1052兆6000億ウォンで過去最高額を記録した。注視すべきは自営業者に対する貸付の延滞率。前年末の0・69%から1・24%まで上昇した。
家計負債問題も金利高からくる利子負担が拡大している。23年の家計金融福祉調査の結果を見ると、すでに22年の時点で世帯当たりの負債の利子コストは年平均247万ウォンに達した。
22年以降、貸付金利が大きく上昇していることから、昨年と今年の利子コストはさらに重くならざるをえない。直近の統計庁の家計動向調査を見ても、昨年第3四半期の世帯当たりの月平均利子コストは12万8988ウォンで、1年前に比べ24・2%増。22年第3四半期から2桁の増加が続いている。

 

 


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