戦争拡大か後退かを迫られる米国

避けられないイラクとシリアからの撤退
日付: 2024年01月30日 11時12分

 米中部司令部は29日、ヨルダン内の米軍基地(タワー22)が親イラン武装団体のドローン攻撃を受け、米軍3人が死亡、34人が負傷したと発表した。ワシントン政界などはイランをこの攻撃の背後とし、イランに対する全面攻撃(戦争)を要求。バイデン大統領も報復を公言した。
一方、イランの支援を受けるとみられるイラク武装組織「イスラミック・レジスタンス」は29日、ヨルダンとシリア国境地帯の米軍基地4カ所を同時に攻撃したと発表した。
イラン当局は29日、自国の関与を否定、イスラム圏のいわゆる「抵抗の軸」は、各者が自律的決定を下すと表明、西方の主張を反駁した。抵抗の軸とは、イランを中心に形成された反イスラエル・反西側性向の同盟体を指す。
ナセル・カニーニイラン外務省代弁人は29日、声明を通じ「域内の抵抗勢力は彼らの決定と行動においてイランの命令を受けない」「イランはこの地域で紛争が拡大することを望まない」「パレスチナ国家を支援するか、防御する方法と関連した抵抗勢力の決定に関与しない」と述べた。
シリアとヨルダン、イラクの国境地域に米軍が構えている4つの基地と関連するシリア領内の「アルタンフ基地」とヨルダン領内の「タワー22」などについては、米軍がテロ集団のISを訓練させる秘密基地と言われてきた。中国テレビ放送は先日、現地住民を取材してこの内容を放送した。
何より、ヨルダン政府が、自国領土(タワー22基地)が攻撃されなかったと発表、米国側の主張を否定した。つまり、米国が主張する死傷者は、シリア領内のアルタンフ基地などで発生した被害と推定される。
米国はすでにイラク内の米軍基地維持が難しいと判断、イラク政府と米軍撤収交渉を始めた。一方、シリア内の米軍は、シリア政府の同意なしにシリア領土を無断占領してきたため、シリア側の攻撃対象となったのが現実だ。
米英など西欧権力層の一角からは、ウクライナ戦争での敗北、アフリカや中東などでロシア、中国、イランなどによって自分たちが追い出されていることへの焦りと憤怒で対決(戦争)拡大の主張が根強い。しかし、西欧は今、ウクライナと中東で大規模の戦争を展開する能力がない。
西欧の一部は、ロシアが攻めてくると扇動し、今回もイラン攻撃を主張するが、これは世界大戦を呼ぶ無謀で破滅的な自殺行為だ。現に、米英は、イランどころか、爆撃ではなく自国を占領してみろと挑発するイエメン(フーシ軍)も攻撃、占領する能力がない。


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