若者の日本就労を支援

世界で活躍する人材紹介
日付: 2024年01月30日 09時16分

 パソナグループ(南部靖之・代表取締役グループ代表)は「社会の問題点を解決する」を理念に掲げ、韓国の若者に向けた日本での就労キャンペーンも多く展開している。昨年11月のCHAグループ傘下大学院とのMOU(覚書)締結、「JOB博KOREA」開催など活動は多岐にわたる。2月からは第5期となる「グローバルヤングチャレンジャー(GYC)プログラム」を行う。担当者に取材した。

民間企業のネットワーク形成

 韓日に共通する社会的課題に(1)少子高齢化(2)首都圏一極集中型の勤務形態(3)人口減少の問題などがある。昨年11月1日に山梨県で開催した「日韓知事会議」には韓日の首長が集まり、地方政府間の関係強化で課題解決を図っていくべく議論が交わされた。
人材支援を主な事業として取り組むパソナグループは同11月24日、女性医学に特化したCHAグループの教育機関であるCHA医科大学統合医学大学院と覚書を締結し、ウエルネスおよび医療の学術研究に関して相互協力を行っていくと発表した。
民間主導の人材交流、就労支援としてパソナグループの取り組みは重要であろう。

■MOUを理念の共有で

CHA医科大学統合医学大学院の「ウエルネス」とは、生殖医療や女性の産後回復医療など、韓医学までを含めた東洋医学と西洋医学を採り入れた具体的な医療科学技術を指す。またパソナグループでは禅・ヨガ・アートなどを含めた「ウェルビーイング」の促進を人材支援の基本にしているという。
出産および子育てにかかる負担を軽減するための心身へのケアと考えると、両者の取り組みは車の両輪と考えることができる。
パソナグループの南部真希也・取締役常務執行役員/国際業務本部長は、「健康に問題を抱えていては人材支援もままならない。広義の意味で私たちが考える『ウエルネス』をCHA大学院さんと互いの長所を取り入れながら、共有していきたい」としている。
また小林景子・執行役員/副事業本部長は、「実際の取り組みは異なるが、お互いの理念に似ているものを感じたことをきっかけにMOU締結に至った」と説明する。
今後、韓国の学生や教授を日本に招き、パソナグループが淡路島で展開しているウエルネスや事業への取り組みを体験してもらう計画だという。

■JOB博KOREA開催

日本企業の理系人材の採用難と、韓国の若者の就職難が重なったのを契機として、パソナグループでは2016年から「JOB博KOREA」を例年開催している。
本プロジェクトに参加する韓国の若手人材は日本語が堪能な人材も多く、出展企業(昨年は12社)でもリピートするケースが多いという。これまでの取り組みで100人以上の日本での就職を実現しており、24年入社予定の人材も14人が決まっている。

■GYCで世界に人材輩出

2011年にパソナコリア(金泰亨代表)をソウルに設立して以来、韓国内の日系企業への人材支援を行ってきたパソナグループでは、19年から韓国の若者向けに日本だけでなく広く海外就職を支援する企画として「GYCプログラム」を開催している。
淡路島で約3カ月間にわたり、ビジネスシーンを想定した日本語研修や面接のマナーなど、日本特有の就職活動に向けたビジネス研修を行う。
「GYCプログラム」は、新韓銀行(晋玉童頭取)および韓国外国語大学(金仁喆総長)からの受託でパソナグループが運営している。参加するのは韓国外国語大学の学生のうち、日本への就職希望者に限られている(コロナ中の第3期開催では新韓銀行のCSR活動の一環で、障害者向けの就労支援をオンラインで行った)。
これまでの開催で、113人の研修を受け入れている。第5期となる「GYCプログラム」は2月26日から4月19日まで開催される予定。
昨年はコロナ明けと韓日の関係改善が重なり、官民連携で開催されるイベントが秋口に多かった。少子化対策や留学生支援など、韓日両政府の連携が進んだが、民間でそのような方針をただちに実行できる企業は多くはない。
就労支援の取り組みは成果が現れやすい面もあるが、保健福祉部や厚生労働省を通じて韓日政府が直接的に関与する取り組みにとどまらず、パソナグループのように民間企業のネットワークを活用して就労支援のグローバル展開を先導している意義は大きい。
韓日の民間企業のネットワーク形成を、就労支援で実現しているパソナグループの今後の取り組みに期待がかかる。

昨年の「GYCプログラム」開講式のもよう。新韓銀行と韓国外国語大学の受託で例年開催されている(パソナグループ提供)


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